アルバムを眺めていたら、一つの写真に目が止まった。
三人の小さな男の子が並んで写っている。
あぁ、こんなときもあった。カズは無意識に微笑んで、遠い記憶を探った。


さくらんぼ。


 今日もカズは元気だった。野山を跳ね回り拾った棒切れを振り回して、鼻の頭には絆創膏。ちょこんと迷彩の帽子を被って、文字通りのガキ大将である。
「ヨシ、いくぞ!」
 幼く可愛らしい声で傍らの友人に呼びかける。呼ばれたヨシは少し慌てて、駆け出すカズを呼び止めた。
「カズ、またんや!まだタカが来てなかよ!」
 う?とふり返るカズの目に、後方からてちてちと駆けてくる姿が映る。
「まって、かじゅしゃん!ぼくも、いっしょに、いくのー!!」
 息を切らして必死に走ってくる小さな男の子に、カズは年上ぶって腰に手を当てた。
「しょーえいはまだちびやけん、あぶなかよ。おうちかえれ!」
「やだもん、かじゅしゃんとあそぶもん〜!!」
 やっと追いついたカズの手をぎゅっと握って、昭栄はべそべそと泣きながら首を振る。
「もー、しょうがなかね。ちゃんとついてくるとやぞっ!」
「うん!かじゅしゃんについていく!」
 昭栄がにこっと笑うと、左側の上の歯が一本だけ欠けているのが見えた。カズは昭栄の手をきゅっと握り、ヨシはハンカチで鼻水を拭いてやる。
 昭栄は強くかっこいいカズと優しいヨシを兄のように慕っている。ヨシもカズも、この手のかかるちびが嫌いではなかった。特に昭栄の歯の欠けた笑顔は、ガキ大将を優しいお兄ちゃんにするのだ。



 同じ地区に住み、同じ保育園に通っていた。まだカズとヨシが4つで、昭栄は3つの頃。
 気の強いカズと、甘えん坊の昭栄。二人を見守る、保護者のようなヨシ。まるで性格の違う三人ではあるが、不思議ととても仲がよかった。
 どこへ行くのも、何をするのも、いつも三人一緒で。
 手をつないで、並んで歩いた。
 毎日が不思議の連続で、驚きがたくさん詰まっていたあの頃。思い出すと胸が詰まるような、温かい記憶。
 カズは目を細めて、アルバムのページをめくった。



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