特に脈絡のない徒然小話。
パラレルなどし放題なので、題・注意文にご用心!
○聞かせてよ
並んで歩く帰り道。
突然の質問に、驚いたような困ったような呆れたような照れたような…複雑な瞳が見上げてくる。
いつもはそんな意地悪は言わない。彼は言葉にするのが苦手なだけで、いつだって自分を想ってくれている。
言葉なんかにしなくたって、目を見ればわかるから。
でもときどきは、その「言葉なんか」で、彼を縛りたいときもあって。
戸惑って困って迷って、言ってほしい。自分のためだけに。
ねぇ、カズさん。
俺んこつ好きですか?
○ないしょばなし。
*昭カズで保育園児です趣味です。
(カズくん、きいてください)
しょーえい?なし声ちいさかと?
(ないしょばなしですっ)
おれもないしょばなし?
(はいです)
(しょうがなかなー。すっごかこつ?)
(あのね、カズくんとぼくでうえたチューリップ、きょうおにわでさきました!)
ほんとかっ!?
(カズくんっ、しーっです!)
(わかっとー!きょうおまえんちみにいってよか?)
(はいですvふたりだけのヒミツですv)
(じゃあ、おヤクソクのちゅーなっ)
(ちゅーですv)
「しょーえいくん、さっきカズくんとちゅーしたでしょ〜!!はずかし〜!!」
「はずかしくなかですっ!コイビトドウシはおヤクソクのちゅーするっておねえちゃんがいってました!」
「おとこのこどうしでコイビトなんて、いけないんだ〜!」
「だいすきなら、おとこのこどうしでもコイビトだって、おねえちゃんがいってました!!」
カズさんは純粋培養な一般庶民で、昭栄は世間知らずのおぼっちゃん。
年の離れた昭栄のお姉ちゃんは昭カズの味方。
あることないこと二人に吹き込んでは楽しんでいる素敵な性格(それお前だろ!)
○サッカーを選んだ日
何よりも光って見えた、グラウンドで一番小さな人の大きな瞳。
あんなに真っ直ぐで、真摯で、綺麗な目を見たのは初めてだったから。
サッカー、か……。
サッカーってそんなにいいのかな。それを選べば自分もあんな風に、
何か一つをひたすらに追いかけることができるだろうか。
―――気になる。
ピッチの外がどれだけ騒いでいようと決して揺らがないその視線は、
正面から見たらどうだろう。あの瞳に自分が映ったら、どんな気持ちになるだろう。
―――気になる。
気付いたら体が勝手に動いていた。
まだ何もかも、始まる前の物語。
○昭カズ幼馴染で小話
せけんには、こわかこついっぱいあると。
いやなこつも、おこっちゃうこつやって、いっぱいあると。
ばってん、おれはうまれてきてよかったちゃ。
いきとーこつ、うれしかたい。
なんでかわかる?
「何でか、わかる?」
「・・・さぁ、知らん。」
小さな手で懸命に手を握られたこと、たれた目で一心に見つめられたこと、
たどたどしい言葉で真っ直ぐに伝えられたこと、全部覚えてる。
でも、わざと忘れたふりをした。
背が高くなって声が低くなって、手も背中も大きくなって、
相変わらずたれた目には甘い色をのせて見つめてくるようになった、
この昭栄にも、言ってほしかったから。
だいすきなかずさんが、わらってくれるけんっちゃよ。
そばにいてね。
○最近のカズさんは
何だかキラキラしている。
いや、もちろん前からすごく光る人だと思っていた。
けど、最近とみにキラキラしていると思う。
特にそう、こんな風に、自分が後ろから声をかけて駆け寄っていくとき。
振り返るときの表情やしかめられた眉には以前ほど鬱陶しがる気配はなく、
大きな瞳も結ばれた唇も、もう何かよくわからないくらいキラキラしている。
もしかしてひょっとして、そばに来るのを待っててくれた、とか?
あぁ、神様。仏様でもいい。むしろその辺の通行人のアナタ。
カズさんがこんなにキラキラしてるのは、自分の目にフィルターでもかかってるせいですか?
カズさんがちょっと嬉しそうに見えるなんて、自分の都合のいい勘違いですか?
カズさんは俺のこと、どう思っているんでしょうか?
…ほんとに知りたいならよっさんにでも聞いちゃえばいいんだけど。
もしカズさんのあんなキラキラした可愛い姿を自分以外の誰かも知ってるとしたら、
そんな事実知りたくない。犬くらいにしか思ってないなんて言われるなら、
そんなのいっそ聞きたくない。
知りたいけど知りたくない、話したいけど話したくない、教えてほしいけど教えてほしくない。
こんなデリケートな自分、カズさんに出会うまでは知らなかったのにな。