*ジャイアンシリーズ二年後のVD話。何もしてないけど下品です(マイガッ!)
ジャイアンのバレンタイン。
「……Hey、小十郎?調子はどうだ?」
今日は二月の十四日。日本人の多くが本命だ義理だとてんやわんやなお祭りの日。
なのに、小十郎の部屋のドアは朝からずっと閉まったままだ。そうっと開けて声をかけると、小十郎はパソコンに顔を向けたままで、うーんと唸るように返事をする。
「まだレポート終わらないのか?」
小十郎は現在、バサラ学園大学部で農業だかなんだかの勉強をしている。
明日提出の学期末考査代わりのレポートがあるとは、聞いていた。でも優秀で要領のいい小十郎のことだから、すすいと終わらせるだろうと思っていたのに。
長時間パソコンを使うときだけ掛けている、限りなく伊達メガネに近い眼鏡の上では、眉間にくっきりと溝が。そんな姿もかっこいいとうっとりしつつ、政宗はそっと小十郎の手元にマグカップを置いた。
小十郎は視線を画面に固定したまま、どこかぼんやりとそれに手を伸ばす。
「あぁ、あともう少し…………っ!?あ゛っま、何だこれ!?」
「Hot Chocolateだ、疲れてるときには甘いものがいいって言うから」
えへ、俺って良い妻!自分で思って勝手に照れている政宗だったが、いつものブラックコーヒーだと思って口に運んだ小十郎には大ダメージだった。集中しすぎて嗅覚も働かなかったらしい。
「それにさ、今日ってほら……な?」
げっほごほむせつつも気遣いを無にしないよう黙っている小十郎に、政宗が甘えた仕種でしなだれかかる。
「な?って……あぁ、バレンタインか」
それでチョコか、なるほどな。なんとか咳も治まって、もう一度ゆっくり、少しだけ口に含んだホットチョコレートは、甘さと熱でふわりと体を包んでくれる。
甘いものは苦手だが、こういうのも悪くない。
「うん、結構うまいな。ありがとう。」
後ろから首筋に擦りついてくる政宗の頭をぽんぽんと撫でて、小十郎はまた意識をレポートに集中させた。
のも、一瞬のことで。
「Yes!!だから小十郎、今夜は俺のLost Virgin記念日に」
「失せなぁ!!!」
入学して一年経ってもまだ体育会剣道部に熱心に勧誘される見事な突きで、政宗を追い出した二時間後。
ようやくレポートを終えて部屋から出てきた小十郎にコアラの子どもよろしくしがみつき、政宗はべそべそと泣きながら訴えた。
「Valentineだぞ!世界中の恋人たちがアンアン仲良くやってるのに何で俺たちは駄目なんだよーーー!!」
「勝手な曲解を世界に押し付けるな!!敬虔なキリスト教徒からクレームが来るだろ!!」
「やだーーーヤりてぇよこじゅうぅううううヤりてぇよぉおおお!!!」
「やめろぉおおご近所歩けなくなんだろーがぁあああ!!!」
あんまりな内容の叫びに小十郎も半泣きだが、政宗も必死だ。
何しろこの二人、何やらかんやらで二年前のホワイトデーから付き合いだして、この秋にはさっさと上位進学推薦で同じくバサラ学園大学部に進学を決めた政宗が、小十郎を無理矢理自分のマンションへ引きずり込んで今じゃ同棲までしているというのに。
「もう清いお付き合いは腹いっぱいなんだよそろそろ今度はお前のおっきいので腹いっぱいに」
「お願いだから黙れこらぁああああーーーー!!!」
まぁ、そういうことなのである。
去年は小十郎の受験、今年は政宗の受験やら小十郎のバイトやらを理由に、ここまで尽くイベント事を一蹴されたが。はっきり言ってあのジャイアンがよくぞここまで耐えたと称えるべき健気さで、政宗は我慢してきた。
それもこれも、この日のため!
心の準備はもう万全だ。ついでに小道具の準備もばっちりだ!
「はっ!?もしかして小十郎、入れられる方希望だったのか!?」
「んなわけねーだろ……」
「じゃあ何でだよぉ、こじゅ俺のこと嫌いなのかよぉ」
「好きじゃなかったらこんなに面倒見てねぇよ」
疲れきった表情でキッチンに向かう小十郎の背で、政宗は鼻をすすって。
「小十郎、俺のこと好き?」
「あぁ、好きだよ。」
いつも言ってるだろ?返される声は優しい。小十郎は嘘をつかない。だからこれは本当。
小十郎が、俺のこと、好きだって!
何度聞いても嬉しくて、ぎゅっと力を込めた腕を、小十郎の大きな手がぽんぽんとあやしてくれる。大事だぞとか、可愛いぞってサイン。
「俺も、小十郎のこと大好きだ!!」
知ってるよと笑う小十郎の穏やかな気配。あったかい体温。
あぁ、なんて幸せなバレンタインデー!!
「だから今夜こそmake loveしよう」
「とりあえずコーヒー飲んでから考えさせてくれ」
この先どうなったのかは、神のみぞ知る(笑)
何はともあれ、Happy Valentine!!二人に幸あれ!!