特に脈絡のない徒然小話。
パラレルなどし放題なので、題・注意文にご用心!
○父性の先行する小十郎とおじょうさま
「まーちゃん、まーちゃん、パパ聞きたいことあるんだよね」
月に一度の家族揃っての晩餐会。普段は離れで勝手気ままに過ごしている政宗が渋々といった様子で席につくと、早速輝宗が愛娘に声をかけた。
「義さんとも話してたんだけどさぁ、まーちゃんもう16歳じゃない。そろそろ婚約者とか考えようと思うんだけど、まーちゃんどんな男の子がタイプ??」
わくわく身を乗り出す輝宗に、政宗はそれはもうあっさりと答えた。
「小十郎。」
ぶっほぉ!!
隣室の控えの間から何やらぐへごほ咳き込む声がするが、
「おれ、小十郎とじゃなきゃ結婚しない。駆け落ちして心中してでも小十郎がいい。小十郎じゃなきゃヤだ。」
政宗は我関せずで言い切った。
「わぁ、姉さん情熱的!ラブラブなんだね!」
「あ、マジで?もう付き合ってんの?まーちゃん言ってよ〜パパも小十郎だいすき!かっこいいよね!」
「まぁ、母に報告もしないなんて・・・でも小十郎ならまぁ・・・」
ごっほごほ、げっほ!!
ゆるゆる進む伊達一家の話に、咳き込みは更に激しくなった。小十郎さまー!?と野太い悲鳴も上がっている。
でもやっぱり、政宗は気にせずにっこり笑って、
「Thanks、皆!反対されるかと思って言えなかったんだ。ごめんなさい、母様」
「は、反対だなんて・・・私はそこまで石頭ではありませんよ(プイっ)」
「そうだよまーちゃん、パパも義さんも大賛成だよ!結婚式は和式?洋式?」
「姉さんにはドレスがいいけど、小十郎は和装が似合うからな〜。迷っちゃうね!」
話が飛躍し盛り上がるにつれて、隣室での騒ぎも大きくなっているのだが、
「・・・一度きりなのだから、どちらも着たらいいわ。でも伊達の長女ならば神前式です。片倉家も神道なのよ、披露宴でドレスになさい。お式は六月は駄目よ、雨季ではお客様に迷惑ですからね」
「母様・・・ありがとう。親父も小次郎も、またいろいろ相談に乗ってくれるかな?まだ学生だし今すぐ結婚は無理だけど、おれたち真剣に考えてるんだ。」
「まーちゃん・・・!もちろんだよ、任せて!パパが世界一綺麗な花嫁さんにしてあげる!」
「僕も応援してるよ、姉さん!」
何だかんだ言いつつ家族大好きな一家は、近い将来得る新たな幸せを胸にほっこりと微笑み合い。
ふと立ち上がった政宗は隣室へと続く襖をスパンと開けると、従者用に振る舞われた膳の前に蹲り目を白黒させている小十郎に、にやっと悪どい笑みを向ける。
「つーわけだから、覚悟しとけよ?小・十・郎!」
放たれた語尾のはぁとに、小十郎はとうとう気絶した。
無理もない。幼少から溢れる父性(ある意味母性)で政宗を包み育て守ってきた小十郎は、政宗が半分下着姿で布団に潜り込んでくるのを、まだまだ甘えたい年頃なのか、お可愛らしいなぁ、なんてあやして眠るくらいである。
当然、そんな彼が政宗と既に付き合っているとか結婚について真剣に考えているなんて、政宗の真っ赤な嘘っぱち。
「こっ、小十郎さまー!!?」
「しっかりしてくだせぇ!誰か、誰か医者を呼べー!!」
倒れ伏す小十郎の背中に舎弟たちが涙目で詰め寄る様を後目に、政宗は再びスパンと襖を閉めて、ご機嫌で食事に戻っていった。
まぁ、半年もしないうちに照れながら婚約指輪買ってくるよ(笑)
○ にょたむねとにょたゆきで小話。
青紅が女子高生です。ご注意を!
なぁ幸村、相談があるんだ。
しょんぼりと俯いてそう言った政宗に、幸村はポッキーをかじる手を止めた。
政宗と言えば、暇さえあれば(時にはなくとも)前世からの恋人に可愛がられるため飛んで行ってしまう、そして愛されてる女の子特有のきらきらした美しさを放つ、幸村にしてみれば憧れのアイドルみたいな、綺麗で可愛い少女なのだ。
せっかくの休み時間に、わざわざ自分のところに来て、こんな悲しげな顔をしているなんて、らしくない!
幸村の驚愕には気付かないまま、政宗は向かいの席に座り頬杖をついて、はぁ。悩み多き乙女のため息。
「小十郎がな、いつもおれを抱っこして可愛い可愛いって言ってくれるんだけどさ」
「ほほぅ、相変わらず仲良しでござるな!」
ちなみにこの程度は双竜の日常なので、幸村の破廉恥センサーは作動せず、真剣に合いの手を入れる。
「オフコース、おれはいつだって小十郎に愛されてるぜ、それはわかってるんだ」
でもな。政宗の長い睫毛が震える。見守る幸村の手にも力が入る。
「でも最近、小十郎、可愛い愛してるって言いながらおれのほっぺをプニプニするんだよ!」
それもすっごい楽しそうに!おれ太ったのかな?
ダイエットした方がいいのかな、でもあんまりガリガリじゃ抱き心地悪くて飽きられちゃうかも、政宗はいじいじと携帯に付けたこじゅストラップ(家庭科の自由課題で政宗が作ったもの。ちなみに小十郎の携帯にはお揃いで作ったまさむねストラップが付いている)を撫で回しながら言っていたけど。
「なんだ、そんなことでござったか!」
別に政宗は太ってなんかいないし、むしろモデルみたいにスレンダーだ。ただもち肌のぷりぷりなほっぺが可愛くて、プニプニするのが小十郎のマイブームなだけで。
そんなこと幸村でさえ見ればわかるのに、まったく恋する乙女は盲目である。
幸村はぐっと拳を握って言った。
「心配はいりませぬ!政宗どののほっぺは、まるで大福がごとき愛らしさにござる!!」
「うわぁああん小十郎ーーーーー!!!!」
かつて月見様とお話していた、ほっぺをプニプニされるにょたむねさまネタでした。
ゆっきはいい子。ただ、喩えが悪かった(笑)
○行事を全力で楽しむ夫婦 節分編
疲労に重い足取りで、日付が変わる頃、ようやく家へ帰りついた小十郎を迎えたのは、
「遅い!」
泣きそうな瞳で怒っている愛妻・政宗だった。
虎柄のビキニ姿の。
「ま、政宗さま・・・??」
このクソ寒い季節に何でビキニ。しかも虎柄。頭痛がする。
「小十郎のバカ!せっかく節分だから、気分出してやろうと思って待ってたのに・・・!」
節分。豆まき。そしてようやく政宗の格好の意味を理解して、小十郎はがっくりと肩を落とす。
「・・・また斬新な鬼の扮装ですね・・・というかそれでは盛り上がる気分が違うかと思うのですが」
「当たり前だろ、エロい気分を盛り上げるための格好なんだから。」
これでお前の膝の上で恵方巻き食うんだよ、萌えるだろ?
新妻の発想は小十郎の理解の遥か斜め上を行っていた。
一瞬遠くなった意識を何とか繋ぎ止めたはいいものの、なんかもうどうしたらいいのかとりあえず泣いていいですか?いいですよね?
「なぁ、小十郎!どうだよ、そそられる?」
よく見ろと言わんばかりに腰の蝶結びやらちょっと浅いが白くて可愛らしい谷間やらを強調してくる政宗に、そんな状態の小十郎が言えることは、
「小十郎は、浴衣から覗くうなじのような、控え目な色気の方がそそられますな。脱がす楽しみがあるでしょう」
妙に生々しい告白を翌日心底恥じることになるのだが、それはまた別のお話。
○行事を全力で楽しむ夫婦 にゃんにゃんの日編
今日も今日とて週明けのっけからの残業にへとへとで小十郎は帰ってきた。
何とか日付が変わる前には家に辿り着いて、あぁようやくうちだ、風呂に入りたい腹も減った、でもやっぱりまずは愛妻の可愛らしい笑顔に癒されたい。
政宗様まさむねさまマサムネサマ・・・ドアを開ける頃にはもう思考いっぱい占拠する愛しさに胸が詰まって。
「ただい」
「遅い!!」
ついでに息まで止まるところだった。
玄関で仁王立ちの妻が、黒い猫耳カチューシャとふわもこなビキニ(・・・?)姿だったから。
あれこんなんすごい何か、覚えあるけど今度こそ泣いていい?泣いていいですよね??
「バカこじゅ!人類史上一度しかないにゃんにゃんにゃんにゃんにゃんの日だから気分出してやろうと思って待ってたのに!!」
「何なんですかにゃんにゃん・・・にゃん?多!!意味わかりません!!」
「にゃんにゃんにゃんにゃんにゃんの日だよ、なのにあと30分もない!にゃんが五つだぞ!!濃厚でぐちゃぐちゃなの期待してたのにこじゅのバカ!!」
ばかぁと涙目で怒鳴って蹲った政宗に、小十郎は何が何だかさっぱりわからなかったけれど。
「・・・政宗様、この小十郎をお見くびり召されるな。20分でにゃんが五つどころか十は並ぶほど、濃厚に愛してみせましょう」
こんなにも愛しい人に寂しい思いをさせたことはわかったので、そう言って小さな黒猫を抱き上げた。
翌朝めろめろにとろけた愛妻のしどけない様子に、何だか開いてはいけない扉を頭突きでブチ破ってしまった気がしたけれど、それはまた別のお話。
○行事を全力で楽しむ夫婦 ハロウィン編
せっかくの土曜だというのに、今日も今日とて小十郎は休日出勤。
朝一番に上司からの電話で叩き起こされ、さらに部下からも泣きつかれ…。
まだ眠る愛妻に書置きを残して家を出るのがどれだけ辛かったか。
しかもこんな、日付も変わる時間まで拘束しやがって。世の中の不条理にありたっけの呪いの言葉をぶつけながら(もういい年こいた大人なので、あくまで心の中で)(ちょっとだけ顔が怖かったかもしれないけれども)足音も高く全力疾走で家路を急ぐ。
あぁ、貴重な一日一緒に過ごせる休日だったのに。寂しがりやの愛らしい政宗様は、目覚めたとき夫のいない家に一人で、どれだけ悲しかっただろう。
政宗様、政宗様!あなたの小十郎は今帰ります!遅くはなりましたが今これよりは、あなただけのために、あなただけと共に…!
「ただい」
「Welcome home, darling!!」
ま帰りました、とは言えなかった。
玄関には、いつか見た黒のふわもこビキニ(はイロイロなアレでダメにしてしまったので、おそらく新しいやつだろう)に尻尾、首にはピンクのリボンと鈴の、古式ゆかしい(?)黒猫スタイルの愛妻。
そこまではいい、いやよくもないかもしれないがそう、いつものパターンだ。
だがしかし、その「いつも」ならばここで帰りの遅かったことを詰り泣き喚くはずの彼女は、待ちわびたと言わんばかりに満面の笑みで腕の中。
ちょっとこのパターン考えてなかった。どうしよう可愛らしい、とりあえずやっぱり泣いてもいいですか!
ステキなかんじに鼻の下が伸びかけたが、いやいやいけないと思い直して、愛するひとを優しく包む。
「政宗様…土曜日にお一人にしてしまい申し訳ありません。寂しい思いをさせてしまいましたね」
「mh・・・いいんだ、小十郎。寂しかったけど、でも、お仕事だもんな。わかってる…」
あぁなんと健気で愛しいんだ!俺の政宗様は世界一!!
感動に胸を打たれた小十郎は、
「わかってるぜ小十郎。つーわけでTrick or Treat ?」
顔を上げた政宗の脈絡も文脈もめちゃくちゃな発言に、今度はこめかみを打たれた気持ちになった。
トリックオアトリート。ハロウィン。そうかもう日付が変わったから、今は土曜日じゃなくて日曜日、つまりはハロウィンの日か。どう考えてもフライングとしか思えないがイベントはまるごと楽しみたい政宗様だから、きっと今日一日かけて準備していたのだろう。
うんそこまではわかる、わかるけど何がどうなって「つーわけで」なのかはさっぱりもってわからないです政宗様。
「今日はな、朝からジャック・オ・ランタン作って、パンプキンパイもパンプキンクッキーもたーくさん作ったし、飾りつけいっぱいして、アロマキャンドルも買って、衣装も手作りしたんだぜ!」
甘い香りとオレンジの灯の中で、おれはドラキュラの小十郎にめちゃくちゃにされちゃうKITTYなの。燃えるだろ?
あ、なんだ結局いつものパターンだこれ。懐かしい頭痛に意識が遠のく心地の中で、
「政宗様…一応申し上げますが、小十郎は仕事帰りなもので、菓子は何も持っていないのですけれど」
「何言ってんだ当たり前だろ!TrickもTreatもお前の身体に決まってんだろーが、菓子なんか持ってたらブン殴るぞ!」
このはるか斜め上をいく破廉恥さ、まさしく政宗様だ。何だかもう泣きたいを通り越して、やっぱそうでなきゃなぁなんて奇妙な安堵感さえ覚えてくる。
「なぁ…こじゅうろうも、いたずらして?」
にゃんと鳴いて誘惑してくる黒猫を抱き上げてリビングへ。
翌日ハロウィンを満喫しきってご満悦の愛妻に、ちょっと困ったところも含めて、やっぱり世界一可愛いなぁなんて思ってしまうのだが、それはまた別のお話。