特に脈絡のない徒然小話。
おんなのこ双竜集パート2!苦手な方はご注意を!


○これぞまさしく痴話喧嘩。
こじゅ、こじゅ!

はい、政宗さま。あぁ、昨日買ったスカートですね、お可愛らしいです。

ほんとか?こじゅも、そのキャミ似合ってるぞ!こじゅは綺麗だから、絶対こういうのも合うと思ったんだ!

そうでしょうか・・・レースなど着慣れないので、少し落ち着かないですが・・・こういった愛らしいものは、政宗さまのように可愛らしい方が着てこそ映えましょう?

そんなことない、すごく似合ってる!それにこじゅは可愛い!

お可愛らしいのは政宗さまですよ。

こじゅの方が可愛い!

いいえ、政宗さまです!


「ねー綱兄、いい加減出掛けたいんだけど。」
「なら成実、お前が止めてこい。」

「こじゅのわからずや!お前の方が可愛いったら可愛いんだよ!」
「わからずやで結構、小十郎は絶対譲りません。あなたの可愛らしさに勝る者などおりませぬ!」

「無理だろ、俺の手には負えねぇよ・・・」
っていうか何なのアレ。

本人たちはもっそい真剣に主張し合ってますが、まぁただのちわげんかですよね。みたいな日常。
多分この後「どっちでもいーから早く支度しろよ!!」と割って入った成ちゃんがいいわけねーだろと双竜のダブルパンチを喰らい、綱兄がさらりと「二人ともそれだけお互いが好きだということだな」とか言ってまるく収めます(成実殴られ損)

○犬猿の仲!
突然の休講に空いた午後の時間を学内のカフェでつぶす。人がまばらだからかあまりうるさくなくて、さわさわとする気配が適度なBGM。読みかけだった本は随分進んで、残すは最後の一章のみ。
「こーじゅっち!」
そんな小十郎の肩をポンと叩いたのは、何だかんだで中学時代から友人の佐助だった。
「や〜偶然?この時間こんなとこで会うなんて珍しいじゃん、俺様大感激!」
言いながら勝手に隣に座る佐助に、小十郎は苦笑しつつも本を閉じた。案外気のきく彼がこうやってこうるさく話しかけてくるのは、相手をしろと催促しているときだ。無視する程にはうざったいと思わないし、飲みかけの紅茶に手を伸ばす。
「ねぇ、せっかくだし今日飲み行こうよ。この後暇?俺様奢っちゃうから!」
にっこにこと顔を寄せて誘う様はまるでナンパだが、小十郎はあっさりとその裏側を見破った。
「おれを誘うほど気の乗らない飲み会ってことは、合コンで標的にでもされてんのか?」
「・・・バレた?」
「断ればいい。安請け合いするなといつも言ってるだろう」
つれない小十郎に、佐助は泣きつく勢いで、いかに今回の災難が用意周到に仕組まれたものか、獲物を狙う女豹の怖さを語って聞かせる。小十郎は女性だけれども他人に対してとてもドライな性格だったので、それは確かに気の毒にと思った。
思ったのだが、
「無理だな。待ち合わせをしてるから」
「えーーーっっっ!!」
小十郎のドライさは平等だった。ただ一人を除いては。
「・・・それってさー、やっぱあの小娘?」
「小娘じゃない、政宗さまだ。」
今日は政宗さまのファストフードデビューにお供するんだ、たくさん食べるとお体に悪いから、小十郎が気を付けてさしあげなければ!
嬉しそうに語る小十郎に、佐助はぶすっと膨れる。
彼は政宗が嫌いなのだ。それはもちろん理由があって、

「てめぇ、猿!!なに堂々とおれのこじゅの隣に座ってやがる!!」
これである。

カフェ中にキンキン響く声で怒鳴り散らす女の子、政宗の目はぎらぎらにつり上がって憎しみに燃えている。
数年前、初めて会ったときから政宗はこの調子で、小十郎と仲のいい佐助を毛嫌いしている。そういう露骨な身勝手さが佐助は嫌いだ。
「政宗さま、公共の場でそのように怒鳴られてはいけません」
「そーそー、わかったら小学生は寄り道しないでおうちに帰りましょうねー」
「小学生じゃない!もう中学二年生だ!!」
「うっそ、ごめんね〜あんまり進歩ないから気付かなかった」
「〜〜〜〜〜バカ猿!!ハゲ!!」
小馬鹿にした態度を隠しもしない佐助と、顔を真っ赤にして怒る政宗。
はっきり言ってどっちもどっちな二人の間で、小十郎はしらっと紅茶を飲み干した。たまたま隣にいた他人のフリで。

それでも結局、わざと合コン主催者の目につくように佐助のクラスへおすすめ本を借りに行き(あちらが勝手に遠慮して佐助の不参加を認めてくれた)、後回しにされたとすねる政宗に手ずからフルーリーを食べさせて甘やかし(これで貸し一だと思えばよいのですよと言われ政宗は悪どい笑みを浮かべた)。
小十郎という人は、ドライだが案外に律儀で、なかなかの策士だった。


○乙女心〜まさむねさま編〜
政宗が風邪をひいた。二日ほど熱が下がらなくてぐったりと眠っていたけれど、今は平熱。体も起こせるようになってきた。
小さい頃から病弱だった政宗の看病は、いつも小十郎の役目で。
それでも昔よりはお強くなられたと安堵して、卵と野菜の雑炊を部屋に運んで行ったら、
「ま、政宗さま・・・?」
「いいから、盆だけ置いて戻れってば!」
布団にくるまったままそう言われて、小十郎は思わず立ちすくんだ。
どうして突然そんなことを?小十郎の看病が嫌なのですか?
そんなこと聞きたくない、肯定されたらどうしよう。小十郎にとって、政宗のお世話は生き甲斐なのに。
しょんぼりしたのに気付いたのか、政宗はほんの少し布団から顔を出した。
「・・・違う、こじゅは悪くないんだ。ただ、おれ・・・」

鼻水が。すごい出るの、そんなのこじゅに見られたくない、だけ。

だってだって、世界で一番だいすきなこじゅに、いつも綺麗なこじゅに、そんなの!
泣きそうに言う政宗の、愛らしい乙女心。小十郎は布団ごとぎゅうと彼女を抱き締めた。
「政宗さまは、ご存知ないのですね。小十郎は、可愛いあなたのためなら、鼻水だってかんでさしあげたいのですよ?」
小十郎の愛情は、そのくらいで減ってしまうほど薄っぺらじゃありません。
可愛い可愛い、わたしの政宗さま。

可愛くないとこ見ないで!って恥じらうむねさまがいいなぁと。こじゅこは優しく微笑んで「はい、ちーんしてください」って言う(マニアックなドリーム)
これがむねさま以外だったら、近くでくしゃみするだけで眉間に皺寄せるくらい潔癖でもいいと思う(笑)

○乙女心〜こじゅこ編〜
いつものように起きて、まだすやすやと眠る愛らしい主を起こさないようそっとベッドを抜けて、洗面台へ。
ライトを点けて鏡を見て、
「……!!」
途端に小十郎は真っ青になった。

「どうしたんだよ、こじゅ!風邪ひいたのか!?」
「政宗さま……」
起きてみたら、だいすきな右目の綺麗な顔がマスクで半分隠されていて、政宗は目をまんまるにして驚いた。
昨夜まで咳も頭痛も、風邪の兆候なんて全然なかったのに。もしかして夜、自分の寝相が悪くて布団を奪ってしまっていただろうか。
青くなって抱きついてくる政宗に、小十郎は珍しくもにゃもにゃと歯切れ悪く答えた。
「い、いえ……風邪などではないのですけど、ちょっと」
「……?」
弱りきった表情(目元しか見えなくとも、そのくらいはちゃーんとわかる)の小十郎を見上げて、政宗もぎゅうと眉根を寄せる。
「なんだよ、おれには言えないこと?おれじゃ相談できないことなのか?」
いつも小十郎に甘えてばかりの政宗だけれど、小十郎が困っているなら少しでも協力したい。だって自分は主なのだ。
政宗の真剣な瞳に、小十郎は目を伏せて、それでもちゃんと理由を言った。

「……唇に、ヘルペスが…………」

政宗がいつも小十郎は綺麗だと自慢げにするのを、くすぐったくも嬉しく思っていた小十郎は、いつだって政宗のために一生懸命美容と健康には気を遣っていた。
それなのに、口唇ヘルペス。上唇の一部がぷっくり膨れ上がって、これがそのうち黒くかさぶたのようになる。どちらにしろ見苦しい、恥ずかしい。政宗に見られたら、見られたくない、だってがっかりさせてしまう!
耳を真っ赤にして俯いてしまった小十郎に、政宗は。
「……ばか、そんなことくらいでがっかりしない!おれはこじゅが大好きなんだから!!」
もうもう、可愛いやつめ!むぎゅぎゅぎゅーっと抱きしめて、柔らかな髪の毛をくしゃくしゃに撫でてあげるのだった。

鼻水の次はヘルペス(やめれ笑)