特に脈絡のない徒然小話。
パラレルなどし放題なので、題・注意文にご用心!
○ヤンこじゅと梵様で小話。
伊達のお屋敷から使者が来てから随分と経って、今。
授業が終わると毎日、公園でちびの帰りを待つのが習慣になった。
小学生は高校生よりも授業が終わるのが早い。ちびは学校の後、友だちの保護者がやっている道場で鍛錬をしたり宿題をしたりして過ごし、俺の迎えを待っている。
道場まで行かないのは、ちびの男のプライドを守るためだ。家の中じゃまだまだ甘ったれだが、最近ようやく馴染んだ学校でできた「ライバル」とやらに侮られたくない一心で、ちびは強くなろうとしている。男っていうのはそういうもんだ。
緑の鮮やかなここにいるといつも思い出す。人形みたいな真っ白い顔で、卑屈な上目でこちらを窺う、ガリガリの可哀相なガキの姿。我侭も言わなかったし泣きもしなかったし、言葉もたどたどしかったちび。
背も少し伸びて、ふくふくと子どもらしく肉がついてきて、大いに笑って、泣き喚く。ちびは変わった。元気になった。
それがとても幸せなことに感じる俺も、随分と変わったんだろう。
その証拠に、
「こじゅー!」
遠くから手を振って、満面の笑みで駆けてくるちびの声に、手にしかけた煙草の箱をポケットの奥深くに戻した。勢いに乗ったまま飛びついてくる身体を両手で受け止めて高く抱き上げる。
「こじゅうろ、ただいま!」
「お帰り、政宗。」
にぱっと笑って頬ずりしてくる小さな頭を撫でながら、思う。
あぁ、吸わなくてよかった。こんな子どもに煙の臭いなんて、覚えさせたくない。
そんなこと、このちびに出会うまでは、今までちょっとだって考えたことがなかったのに。いつも煙草を持ち歩いているくせに、禁煙記録は目下順調に更新中だ。
「こじゅうろー、きょうのばんごはんなにかな?まさむねカレーたべたい!」
「今日は鯵の塩焼きだ。」
「えぇ〜、カレーがいい!こじゅ、カレーにしてよぉ!」
肩に預けた頭をぐりぐりと擦りつけながら我侭を言うちびに、ダメだと言いつつ頭の中ではカレー風味の鯵のムニエルを思い浮かべてみている辺りも。
甘ったるい変化なんだろうが、不思議と悪くない。腕に抱く重みの尊さに気付いたから。
一応、某CMのパロ(から派生して色々くっつけちゃったけど)
○時を止めて(片倉公御命日に寄せて)
忘れたくない
これは幻。鮮やかで短い、幻。
幼い頃、まだ若かったお前は言った。
「小十郎も死ぬのですよ。」
いつかは。そう、穏やかに微笑んで。
俺はそれが嫌だった。そんなことをそんな顔で言うお前なんて嫌いだ。だから散々泣いて暴れて喚いてやった。最後は泣き疲れてお前の膝で眠った。この温みを奪われるなんて信じたくなかった。
誰も信じないかもしれないが、梵天丸がこの世を憎く思ったのは、あのときが初めてだった。
あの日、あの別離の日、痩せこけたお前は言った。
「小十郎も死ぬのですよ。」
そう遠くはないうちに。そう、穏やかに微笑んで。
俺はそのとき、お前が愛しくてたまらなかった。だって知っていたか、お前の左目は涙をこぼしたんだ。右目は静かに穏やかに『竜の右目』の矜持を守っていたというのに。
あぁそうか本当はずっと泣いていたんだろう。心配性で寂しがりなお前が俺を置いていく、そのときが目の前に迫っているのに、それで平気なはずがなかった。
愛しい、いとおしい、いと惜しい。
俺の右目。俺の小十郎。
右目一つ守れなかった俺は竜ではなかったのだろうが、別に人だって構いやしない。ぺらぺらの紙みたいな翼でも飛べる。
お前が灯すささやかな光が、今ようやく届いたから。
「HeyHeyこじゅうろー!」
「何ですか政宗様今忙しいんですけど猛烈に」
「ばっかやろ葱に夢中になってんじゃねぇ!それどころじゃねんだよ大変だ!今KO★MA★SAサイト巡ってたら今日がお前の命日だっていうじゃねーかよWhat's!?どういうことだそりゃ!お前ピンピンしてんのに何で追悼文やら画やらがバリバリ更新されてんだ!うっかり泣いちまったじゃねーか小十郎俺を独りにするんじゃねぇ!!」
「っていうかこまささいとって何です」
「突っ込むとこそこじゃねぇええ!!」
○うさぎの小十郎と飼い主の政宗様。
*うさぎです。そのまんまうさぎです。潔くうさぎです(しつこい笑)
ちなみに私、動物の飼育経験ないです。全てがフィーリングです!
なんかすごい色々アレです。書いといて自分でこれ…ちょっとシュール…とか思ったとかなんとか(ごにょごにょにょ)
「ただいまー」
一人暮らしのマンションに帰ってきて、帰宅の挨拶。
鍵をかけて靴を脱いでいる間に、ぴょこんぴょこんと足音が近付いてくる。
「帰ったぜ、小十郎」
抱き上げたのは、片腕におさまる小さないきもの。
白くてふわふわの長い耳をふるふるる(効果音をつけるならうささささ)と震わせて擦り寄ってくる。
政宗の大切な家族。うさぎの小十郎。
二人の出会いは鮮烈だった。
まだ政宗が小さくて、病気がちで自宅と病院の往復生活をしていた頃。
過保護な周囲への反発心でそっと家を抜け出して、でもすぐに疲れてしまって公園のベンチで休んでいたら、何かものすごく怒った様子の野良猫に襲われかけた。
今考えてみると、しっぽを踏んだか食事の邪魔をしたか、猫が身体の大きなひとにそこまで怒るような何かをしでかしたんだろうけれども、そのときの政宗は緊張状態で動悸も治まらないし、動物と触れ合ったこともなかったからとにかく怖くて。
鋭い爪で引っかかれそうになって頭を抱えたときに、小十郎が現れた。
ふわふわ白うさぎの小十郎は頭突き一発で猫を追い返した。誰に話しても笑い飛ばされるし、政宗も正直目を疑ったのだけれど、これは本当の話。
あぁ、唯一、近所の友人・幸村だけは信じてくれた。というのも、小十郎はこの辺りの動物界じゃ有名な一匹うさぎなんだとか。「その白い毛並みと鋭い灰の瞳、左頬の向こう傷が証拠にござる!」と熱弁していたが、一体どこ情報なのかはよく知らない。
でも、事実、大きくて凶暴でよく吠えると有名な犬も、小十郎の前では尻尾を巻いて伏せてしまうから、あながち外れてもいないのだろう。
その一匹うさぎの小十郎は、どうしてか政宗を気に入って、抱っこで連れて帰られて以来、ずっと政宗の家族をしている。
小十郎は強く賢いうさぎなので、放し飼いでも部屋を荒らしたり汚したりしない。食事の仕方は上品だし、教えなくてもトイレの場所を覚えている。二日に一度の散歩でも、リードなんてつけなくても、絶対に政宗の半歩後ろから離れたりしない。
動物たちやご近所の皆さんから尊敬の目を集めている小十郎だが、政宗だけに懐いて、政宗だけを一心に追ってくる。それがとても可愛くて、政宗の一番の自慢だった。
「小十郎、今日のごはんは豪勢だぞ」
産地直送の春キャベツ!どうだと目の前に出してやると、小十郎の耳がぴーんと伸びて立ち上がる。ちょいっと前足まで浮き上がって、興味津々の様子だ。
食べやすい大きさにちぎって口元へ持っていってやると、小さな鼻がふんふんと動いて、かじかじと食いついてくる。野菜にうるさい小十郎がこれほど素直にかじるとは、余程いいキャベツなのだろう。
「うまいか?小十郎」
耳がふるふるる(より忠実に表現するとうささささ)と震える。
「そうかそうか、嬉しいか〜」
小十郎が耳をうさうささせるのは、すごく嬉しい気持ちのときだけ。キャベツを乗せていたてのひらに感謝を示すように頬ずりされる。
わざわざ通販した甲斐があった!政宗は相好を崩しつつ、またちぎったキャベツを差し出した。
・まーくんのバイト代は小十郎の野菜につぎ込まれているよ。
・目つきの悪いヤンk…もといやんちゃ風な青年と白くてふわふわなのに異常に迫力のあるうさぎのコンビは、ご近所さんに有名だよ。
・ちなみに幸村くんの『伝説のうさぎ★小十郎』情報は、おやかたさまが拾ったカラスの佐助から。幸村くんは佐助と会話ができるよ。
・更にちなみに、小十郎の左頬の傷はずっと昔変人で名高い松永さん家から逃げ出すときに三匹のドーベルと戦った名誉と自由の象徴だ、って佐助が言ってたって幸村くんは言ってるよ。
・まーくんはちょっ、こいつマジで?とか思いつつ大好きな小十郎のことなので信じてるよ。
・え、寿命?それって和菓子??
○うさぎの小十郎とおともだち・カラスの佐助
まっしろうさぎの小十郎は、大きな道場の裏手の庭でひなたぼっこをしていた。
道場の名前は「武田道場」、その裏のおうちは道場主・武田某という声の大きなおっさんと、弟子の幸村の住む屋敷だ。
小十郎の主人が幸村とテスト勉強をするとかで、一緒に連れられてきた。
武田家の住人は騒がしく熱血で苦手だけれど、ここの庭は緑と土が気持ちがよくて、悪くない。
辞書やら専門書やらにまみれて唸る主の邪魔をしないためにも(何しろ主ときたら、小十郎を溺愛しすぎて、ぴょこんとはねる背が見えただけでも構おうと寄ってきてしまうのだ)小十郎はそよそよと風に当たりながらおとなしく過ごしていた。
そんな小十郎の背に、ひそやかな羽音で、ごくごく軽い重みが加わった。
『よ、右目の旦那。相変わらず渋い佇まいだね〜』
ひょい、と片翼を上げて小首を傾げるカラス。幸村のペットの佐助だ。
佐助はおしゃべりをしたいとき、いつも小十郎の背中に止まる。決して爪を立てないし重みもかけてこないので勝手にさせているのだけれど、主はそれが気に入らないようで、佐助を見つけるといつも直ちに追い払おうと躍起になる。
集中を妨げないか心配だが、そこは佐助の主にも言えることだから、さすがの佐助も少し声のトーンを落として翼をしまった。
『右目の旦那、聞いたかい?最近この辺りで、妙な男の目撃情報が出てるぜ』
『・・・知らねぇな。わざわざ俺に言うってことは、危険な奴なのか』
早耳の佐助は、どこそこの奥さん離婚協議中〜なんてどうでもいい噂話が大好きという悪癖持ちだが、反面まちの治安に重要な情報もよく知っていて、小十郎を見込んで協力してくれている。
小十郎が耳の先をぴくりとさせて横目に見上げると、佐助は相変わらず渋くていい声!とおどけた調子で羽ばたいてから、一転まじめに小十郎を見つめた。
『その男は三匹のドーベルを連れて、こう言って歩いていたそうだよ。』
珍しいいきものを探しているのだよ。唯一私の手元から飛び出した、白く勇敢な宝をね。
それを聞いた瞬間に、小十郎の毛並みがぶわわっと逆立った。膨れ上がる殺気に、佐助も思わず飛び上がって避難する。
その言い回し、三匹のドーベル。忘れもしない。
『松永ぁ……!!』
この世で最も憎い相手の名を、まるで獰猛な肉食獣のように唸って呼んだ小十郎に、佐助が身震いして、それでもうなずいた。
『そうさ、あいつがアンタを探してる。』
なんの変哲もないうさぎでいて、このまちの動物界ではトップに君臨し、まち外れの松永の屋敷から単身抜け出した、勇ましくも珍しい小十郎を、再び手に入れるために。
「それは真か、佐助!?」
『うわぁ!?』
突然乱入してきた大声に再び飛び上がった佐助を捕まえて、幸村は燃える瞳で詰め寄った。
「松永殿が小十郎殿を探していると、それは確かな情報なのだろうな!?」
あまりの勢いにこくこくとうなずくだけで精一杯の佐助に構わず、幸村はこぶしを握るとうぉおおと気合いを入れ始める。
「聞き捨てならぬ!!小十郎殿はこのまちを守る大切なうさぎ殿であり、政宗殿の大切なご家族!!某も全力をもってしてお守りいたす、ゆめゆめ奪われてなるものかぁ!!」
励めよ佐助ぇ!!と燃え上がる幸村と、任せといてよ旦那!と珍しく共に盛り上がる佐助。
かくして今ここに、「伝説の小十郎さんを守ろうプロジェクト」が生まれた。
が、
『松永……今度会ったらぶっ殺す!!』
「…Hey幸村、お前マジでカラスと会話してんの?いつまでdreaming child??」
肝心の小十郎は土にざっくざく前足蹴りをお見舞いしていて聞いていないし、政宗は友人の不思議っぷりにドン引きしていた。
政宗様には、「なぁ佐助!」「カーカー!」としか聞こえないので(笑)
ちなみにゆっきと小十郎は会話できません。
つまり小十郎が『相変わらず渋くていい声』なことは、動物さんたちだけが知っている(笑)
○わんこじゅと飼い主の政宗様。
*今度はわんこじゅです。そのまんま犬です。
散歩は毎日、早朝に行く。
しかし、普段学生として家にいない時間が多くなる分、愛犬に寂しい想いをさせているのだからと、政宗は日曜はいつも公園で愛犬と思いきり遊ぶことにしていた。
特に、政宗の愛犬・こじゅうろうは、まだ子犬だ。てちてち走るようになって、好奇心も遊び心も満ち満ちていて、何より政宗によく懐いている。学校に出かけるときなど、きゅんきゅん鳴いてしょんぼりするのだから、たまらない。
だから今日も今日とて、愛犬が満足するまで、心行くまま遊んだ。こじゅうろうもそれはもう楽しそうにぶんぶんしっぽを振っていたが、ボールや骨のおもちゃにじゃれつく姿を見て、政宗も大いに癒された。
疲れたろうと抱っこして帰る途中、安心しきった様子でぴすぴすと鼻音を鳴らして目を閉じているのが、あまりにも可愛くて……
お風呂に連れ込んだ途端、きゅうんきゅうんと悲壮に鳴いて嫌がるのが、非常に良心を咎めるのだ。
しかし、今日は秘策があった。同じ犬飼いのクラスメートに伝授された、お風呂を大好きにさせる秘密兵器。
「ヘイヘイこじゅうろう、ほーらボールだぞ。ちゃぷちゃぷしてるの取れるかな〜」
桶に温い湯をくんで、そこにこじゅうろうのだいすきなボール(これは政宗が最初にこじゅうろうに与えたおもちゃなのだ)を浮かべる。
きゅうんと戸惑って鳴くこじゅうろうをよしよし撫でながら、とってこいの合図をしてやると、おずおずとだが近寄って、ボールを鼻先でつんつんと動かしてから、はくりとくわえて駆け寄ってきた。
「偉いぞこじゅうろう!こじゅうろういい子だぜ!good boy!!」
動物王国のおじさんもかくやというほどもちゃもちゃと撫で回し誉めて、ご褒美の野菜クッキーをあげる。それを何度か繰り返せば、
「きゃん!くぅ、きゃん!」
もっとしよう、もっと遊んで!と言わんばかりにぶんぶんしっぽを振って、つぶらな目がキラキラと見上げてくる。前足を桶に入れてちょいちょいボールをつつくこともあり、濡れても平気になってきているようだ。
「よし、こじゅうろう!カムヒア、抱っこだぜ!」
抱っこと聞いて、一目散に駆け寄ってくるのがまた可愛い。リラックスして、甘えんぼうな子犬らしさが出ているのは、いい傾向だ。
「ちょっとずつ塗らすからな。怖くないぞ、きれいになるぞー」
抱きしめながら、後ろ足からゆっくりと、手に掬ったお湯をかけて濡らしていく。大人しくできていたら誉めてご褒美。次は薄く湯を入れた桶の中に入れて、よしよし撫でながら水で遊ぶ。順調だ。またご褒美。
桶から抱き上げたら、今度はお湯をかける段階だ。まずは少量を、そっとお尻の方から。さすがに不安になったのか、きゅうんと鳴いて二三歩動くも、政宗の元からは離れなかったので、ご褒美。
焦ってはいけない。しかし、緊張しすぎていてもいけない。こじゅうろうを怖がらせないで、お風呂を楽しむことが大事なのだ。
たっぷりと時間をかけて、こじゅうろうがほかほかつやつやで「きゃん!」と嬉しそうに鳴いたときには、政宗は汗だくでドロドロ。
こじゅうろうの風呂嫌いも克服したし、次からは自分も一緒に洗ってしまおうと思うのであった。