*現パロで女の子たち。全員モデルとか女優なイメージで(テキトー)


 それぞれのブランドカラーがひしめくそこは、乙女たちの宝箱。一人でじっくりと、友だちと連れ立って賑やかに、或いは大好きな彼と一緒に。コスメショップは今日も軽やかな声で溢れている。

「うーん、迷うだよ……」
「どうした、決まらないのか?」
 色とりどりのアイシャドウ。あれもこれも綺麗で、同じ色でもセットが違えば印象も違う。どれを選んだらいいか決められず眉を寄せるいつきに、かすがが声をかけた。
「そうか、いつきはこういうの、初めて選ぶんだな。」
 かすがは既にお目当ての商品をしっかりと確保したらしく、いつきと一緒にシャドウの並ぶ棚を覗き込む。
「かすが姉ちゃんだったら、どれにするだ?」
「私か?私はいつもこれを使ってる。ここのは色がよく映えてオススメだ」
 かすがの白い指が示したのは、黄色を主体としたもの。そう言われれば、彼女はいつも黄色を使っていた。
「謙信様が、私には黄色がよく似合うと言ってくださったから……」
 愛しの君を思い浮かべて頬を染めるかすがを、いつきが羨ましそうに見上げる。
「いいなぁ、おらも好きな人にそういうこと言われてみてぇだ」
「好きな人って……だぁれ?」
「わっ!!」
 突然背後から声がした。驚いて振り向くと、市が控えめな微笑みを浮かべている。
「もしかして、蘭丸のことかしら……ふふ」
「んなっ……ち、違うべ!す、好きな人なんて、おらはまだ……!」
「照れなくても、いいのに。」
「蘭丸ってあの生意気なガキだろう。変わった趣味だが、いつきがいいなら否定はしない」
 からかう二人にいつきが真っ赤になると、見かねて大人二人がやって来た。
「あらあら、何事かしら?」
「市、かすが。意地悪をしてはいけません!」
 まつに咎められ、市とかすがは笑い合って首をすくめる。
「こんなに真っ赤になって、何の話をしていたの?」
「あのね、姉さま……」
「あっ、あの!皆だったらどの色を選ぶか、教えてけれって言ってただよ!」
 真偽がどうあれ、蘭丸の保護者である濃姫に先程のやり取りを聞かれるわけにはいかない。市の言葉を遮ったいつきの勢いに押されたのか、濃姫は追及せず微笑んだ。
「そうね、初めてではなかなか選べないわよね。」
 そううなずいて、私ならこれを選ぶけれど、と濃姫が指差したのは、紫とピンクのグラデーションが色っぽくかつ可愛らしいもの。
「……でも、私じゃ歳も違いすぎるし、参考にならないかしら」
 確かに、妖艶な濃姫の魅力を引き立てるそれは、いつきにはちょっとハードルが高かった。いつか、濃姫のように色っぽく成長したら。
    ダメだべ、全然想像できねぇだよ……。
 年齢以上に超えられない壁を感じて、いつきは肩を落とす。
「まぁまぁ、女の魅力とは一つではありませぬ。犬千代様はいつも、まつには元気が一番似合うと言ってくださりまする。いつきも自分らしさを磨けばよいのですよ」
「……長政様は、褒めてくれないの。でも長政様、市がピンクを着てると嬉しそうだから……市ならピンクにするわ。」
 桃と桜色のシャドウを手に取る市に、まつはその下のオレンジのシャドウを指した。
「私なら、これにいたしまする。オレンジは明るく元気な色。それに私の好きな緑色とよく合いますれば」
 それぞれがそれぞれの理由で色を選ぶのを見て、いつきは首を捻って考えた。
「おらは、ピンクも黄色も好きだども……」
 市やかすがなら美しく映えるであろうそれらの色は、自分では子どもっぽくなってしまう気がする。脱・チャイルドモデル!が最近のいつきの目標だ。もう少し大人っぽく見える色がいい。
 うーんと唸りながら棚を順番に見ていくと、水色がメインで青と白のグラデーションが爽やかなものが目についた。
「そうだ、前、おらは肌が白いから青とか水色が似合うんだって、政宗兄ちゃんが言ってただよ!」
「伊達か……あいつは青が好きだからな。」
「でも、間違ってはいないわ……きっと、似合うと思う。」
 フンと鼻を鳴らしたかすがも、市の言葉に否定せずうなずく。濃姫もまつも、微笑んでうなずいてくれた。
「よーし、じゃあこれに決めただよ!」

 その後、綺麗な青で飾られたいつきの瞳に、政宗は大いに褒めて妹自慢に精を出し、小十郎は早熟な娘を持つ父親のような複雑な気持ちを味わったとか。




この色が似合うと主張したいだけの話。
これだけなら別にモデルとか女優である必要もないという(なんと)