*現パロで政宗高校入学、小十郎一歳上。小←政。


「こじゅーろ〜」
 出来上がった朝食をテーブルへ並べていた小十郎のもとに、真新しい制服に身を包んだ政宗がネクタイを振りながらやってきた。
「ネクタイ、うまく結べねぇ。やってくれ」
 だろうと思って事前に教えようかと何度も言っていたのだが、小言は今日だけは封印。
「はい、政宗様。」
 優しく微笑んでネクタイを受け取った。


 今日は政宗の高校生活始まりの日。こんな良き日をお傍で見守れるとは、と小十郎は涙ぐんでいるが、実は政宗の方が喜びに打ち震えていたりする。
 だって、だって、ようやく!
 優秀さを買われて、ひいては未来の政宗を支えるためにと奥州を離れ進学してしまった小十郎を追って、更に寮生活を送っていた小十郎を無理矢理二人でマンション暮らしに引き込んで。
 これからは朝も昼も夜も、家に帰っても学校に行っても、ずっと一緒。
    俺たちのsweet lifeが始まるんだぜ、小十郎!!
「政宗様がそのように楽しそうにされていると、小十郎も嬉しゅうございます」
「あぁ、楽しいな。いいことがたくさん待ってる予感がするぜ?」
「そうでしょう。新しい学び舎で新しい生活が始まるのです。ご友人も増えましょうし、興味深い授業もすぐに見付かるでしょう。部活動などもございますなぁ」
 顔を緩める政宗の胸の内を、小十郎は高校生活の幕開けに対する喜びと取ったらしい。目を細めてうなずいてくる小十郎に、政宗は恨めしげな視線を送った。

 政宗にとっては、小十郎以外は何だって全て無価値である。友人とかどうでもいい小十郎と一緒にいる時間が減るから。授業とかどうでもいい小十郎と一緒に受けられないから。部活動とか(以って以下略)
    何で気付かねーんだよ、ばかこじゅ。
 政宗が期待しているのは、少し大人になった自分と小十郎が、オトナの階段を上っちゃうようなアレコレを指すのだが。
「そうですね、他にも……あぁ、うちの学園は文化祭や体育祭が派手ですから、きっと政宗様のお気に召すでしょう。楽しみですな」
 にこにこ。政宗の抗議の視線にもピンクな脳内にも気付かない小十郎は、政宗以外には至って893な態度が別人のように、平和にほのぼのと笑いかけてくる。
    ……ちくしょう、cuteだぜ小十郎!!
 何年越しで送り続けているこの熱視線にちっとも気付かないニブいところも、まるで親の如く成長を見守ってちっとも妙な気を起こしてくれない野暮なところも、憎らしいけど大好きだ!!
「政宗様、しがみつかれては結べませんが……」
「sorry、ついついな」
 思わずその武道の鍛錬やら趣味の農作業やらで逞しく鍛えられた胸に飛び込んでしまった。熱く盛り上がった恋心の為せる業。しかしそれもこの男にかかれば、
「そういえば昔から、政宗様は気が昂ぶるとこうされましたな。以前は後ろにひっくり返るという失態も犯しましたが、今はこうして受け止められますぞ」
    ニブチン!でも可愛いから許す!!
 何だその『あなたのために鍛えました』発言!まぁその通りなんだけどな!と内心床を転がり回って身悶えつつ、頼りにしてるぜとかなんとか言って取り繕った。もちろん嘘は言ってないが。
 振る舞いは常に、coolかつsmartに。政宗のidentityだ。例え恋の炎に焼かれようと、小十郎の魅力にやられようと。
    ……でもまぁ、宣戦布告くらいはしといてもいいかもしれねーな。
 この様子じゃ、何年かかっても小十郎はニブこじゅのまま。一人脳内で妄想にのたうち回るのも、結構疲れるのだ。同じ疲れるなら現実にこう、色々と、うん。そんなかんじで!
「苦しくはございませんか?」
 優しい動きでネクタイを結ぶ、そのごつごつとした手。いつだって労りと愛情に満ちたこの手に、もう少し別の熱も宿してほしい。時が自然に変えてくれるのを、待っているほどの余裕はないのだ。
    俺は今すぐ、お前が欲しいんだぜ。You see?
 想いをこめて、首元で器用に動く指先に。

「Hey、小十郎。初日から遅刻させる気か?」
 唇で触れた肌の温度。目を瞠って固まる小十郎。ひん曲がったネクタイの形。
    こんなことで驚いてんな、次はこんなじゃ済まさねぇ!
 飛び上がってはしゃぎたい気持ちをこらえて、大人の余裕で笑ってやった。



最後のシーンがぱっと浮かんだときは、もっとしっとりした雰囲気の話になるはずでした★
政宗様は暴走を始めるとそれを自覚しつつアクセルをガンガン踏むタイプだと思う(笑)
ところでこれって小政ですか?政小??