*兵長のお馬さんをガン捏造(笑)
おまけ ダークホースの存在について
リヴァイに全幅の信頼を寄せられているエルヴィンをして、「我々にとっての一番の強敵は彼かもしれないな」と言わしめる存在がいる。
名をビーマス。調査兵団入団から最終戦まで、誰よりもリヴァイの傍で共に戦った男。
ビーマスは、彼女の愛馬だ。
「ビーマス。重くないか?」
小麦や野菜など、比較的重量のある荷物を背に乗せたビーマスを、手綱を緩く掴んだままゆったりと歩かせる。声をかけるとぶるる、と穏やかな鼻息で答えが返ってきて、リヴァイはたてがみを優しく撫でて労わった。
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ビーマスは兵団の馬にしては珍しく、かなり気性の荒い、乗り手がいない廃棄寸前の馬だった。
入団当時、得体の知れない地下街のゴロツキとして煙たがられていたリヴァイに、その馬が与えられた意味など、いちいち説明されるまでもない。
さすがにそれで壁外へ出すのはエルヴィンが許さないだろうが、試乗でひどく振り落とされて怪我でもすれば笑いものにしてやろう。
ニヤニヤと遠巻きに取り囲んだ人垣の思惑とは裏腹に、ビーマスはあっさりとリヴァイを背に乗せた。
走らせてみると、まさに汗馬と言える速さと力強さ。あんぐりと口を開けた外野を尻目に、その日以来リヴァイとビーマスは相棒となった。
リヴァイ以外の人間には、例えエルヴィンでも世話すらさせない気難し屋だが、リヴァイにはどこまでも忠実で、勇敢に戦地を共にしてきた。
お互いに運よく生き残ることができて、リヴァイの退役の日。
最後の挨拶だとビーマスの鼻筋を抱きしめたリヴァイに、エルヴィンがそのまま連れて行けと言ってくれた。
激戦が重なる中で、ビーマスの体も限界だった。並足でゆるゆるとリヴァイを運ぶくらいなら問題ないが、兵団の馬として荒地を駆け抜けることはもう難しい。どうせリヴァイ以外の人間では乗りこなせない馬だ。英雄の恩賞の一つとして下賜しても、兵団の損傷にはならない。
かくして、リヴァイの新しい家の庭にある馬小屋が、ビーマスの新たな住処となった。
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古の書物に伝え残される、神話というものに、リヴァイの名に似た生き物が描かれているらしい。世界で最も強い生き物と言われているものだそうだ。
ビーマスの名は、その生き物の番である、世界で最も美しい生き物の名からとった。古の言語でリヴァイには発音がよくわからないが、おそらくそのように呼ぶらしい。
あまりに強すぎたために、別々の場所へ分かたれた番の獣。
地下街の変わり者で名高いじいさんから聞いた話だったので、まゆつばものかもしれないが。リヴァイは案外その話が気に入っていて、大切な記憶として相棒の名に委ねたのだ。
見えてきた我が家の庭先で手を振る人間の男の姿に、ビーマスが不機嫌そうに鼻を鳴らした。隣を歩くリヴァイの行く手を邪魔するように、鼻先を押し込んでくる。
番の名をつけたからなのか、ビーマスは自分をリヴァイの夫役だと自負している節がある。
「お前にも、そろそろ嫁さんがいるかな。」
エルヴィンの馬なんてどうだ、白馬で美人だぞ?と問いかければ、彼はリヴァイの小さな頭の上に顎を乗せて、ぶるる、と抗議の声を上げた。
ビーマス…ベヒモスの発音捏造。捏造具合にも程がありますが、こういうネタ好きなんだ…(笑)