番外編 未来の話


「やぁ、君がリヴァイの子かな?」
「だぁれ?ママをしってるの?」
「よく知ってるさ。私は君のママの友だちだもの。それにその首に掛けてる石ですぐにわかったよ。こんなところで何してるんだい?」
「きょうはママとパパのけっこんきねんびだから、ママにきれいなおはなあげるんだ」
「花を探しに来たんだね。でも、一人でこんな遠くに来ちゃいけないよ」
「へいきだよ。ここはあかるいし、みちもあるでしょ?」
「それでも駄目だ。君のパパもママも、今頃真っ青になって心配してるよ。怒られるんじゃないかなぁ」
「えっ…………でも、……」
「仕方ない。花の代わりに、私の宝物を譲ってあげよう。これをママにあげるといい」
「わぁ!なになに?」
「いっぱいあるよ。どれがいいかなぁ。これは南国にしかいない鳥の羽、すっごい派手な色だろう?こっちは虫が中で固まってる石。歴史の神秘だね。香木もほら、こういう香りのものは壁内にはないだろう。獰猛な縞模様の獣の爪もあるよ。あと一番のおすすめ、くっそデカい蝉の抜け殻!ふぅうううテンション上がるね!これ!ほら!」
「……えー」
「あれ?だめだった?」
「だって、きれいなママににあうきれいなおはなさがしてたのに、むしなんかいらない。そんなのじゃママよろこんでくれないもん」
「そうかなー……すごい珍しいものなんだけど、子どもにはちょっとわかんないか。うーんじゃあ、こんなのはどう?南の海で拾った貝殻」
「うみ!?」
「おっ?海好きなの?」
「うん!もうちょっとおっきくなったら、かぞくでうみみにいこうって、パパいってた!うみすっごくきれいなんでしょ?うみいきたい!かいがらほしい!」
「そうかそうか、よしよし。じゃあこのぐるぐるのやつをあげよう。こうして穴を耳にあてると、波の音が聞こえるんだよ」
「すごい!どうして?まほうなの?」
「そう!魔法の貝殻!きっとママも喜ぶよ」
「ありがとう!!ママびっくりするかな。しってる?ママにっこりするとすっごくかわいいんだよ。よろこんでくれるかな?」
「あぁ、にっこり笑って、泣いちゃうくらい喜んでくれるさ。さぁ、そろそろお帰り。ママとパパの声が聞こえるだろう?」
「あ……」


――――幸せにおなり。またね、×××



「……!……、頼む、返事をしてくれ!!」
 めをあけたら、いつのまにかベッドにねていた。
 ママがつよくてをにぎってなまえをよんでいる。パパやちょーさへーだんのみんながいる。
 いつのまにおうちにかえってきたんだろう?
「あぁ、よかった起きた!」
「ドクター、早く!」
「……峠は越えました。もう大丈夫、子どもの回復力は強いですよ」
 おいしゃのせんせいまで。
 きょうはだいじなおいわいのひだから、みんなでおこしにきてくれたのかな。
「……マ……」
 へんなの、うまくこえがでないや。でもパパがみずをすこしのませてくれて、ちょっとだけらくになった。
 こんこん、とせきをして、キスするときみたいにちかづいてくれたママに、にっこりする。
「どうしたの、ママ。なかないで?」
 よしよししてあげようとおもったら、てのなかにはあのかいがらがあった。
 あぁ、よかった。おうちにかえるまで、ちゃーんとおとさずにいられたんだ。
「ママ、いいものあげる。まほうのかいがら」
 てをのばしてかいがらをわたしたら、ママもパパもみんなもびっくりして、ふしぎそうなかおをした。
「おみみにあてたらうみのおとがするまほうだよ。ママのおともだちのひとがくれたの。たからものなんだよ」
「……ママのお友だちって」
「いや、ていうか、いつこんなもの……?」
「こんな鮮やかな色の貝殻は、僕も見たことないんだけど」
「みなみのうみの、まほうのかいがらっていってたもん。ママにだけあげるんだもん。とくべつだから、これしかないよ、あたりまえでしょ!」
 ママのおみみにかいがらをくっつける。
「どう?ママ、うみのおとするでしょ?うれしい?」
 めをとじておとをきいていたママは、まだぽろぽろないていてかわいそうだったけど、ぎゅっとだっこしてくれて、たくさんたくさん、おかえり、ありがとう、といってくれた。

「帰ってきてくれてありがとう。……私たちの、ハンジ」

 ただいま、ママ。なきむしなママも、にっこりなママも、パパにぷんぷんおこるママも、かわいくてだいすき。
 ママのこどもでよかったな。うんでくれて、ありがとう。