見た目小学生美少女中身肉食アラサーAV女優の合法ロリヴァイさんシリーズ。
えっちぃことはしてませんがそういう設定ですので、露骨な表現があります。ご注意ください。


 最近魂が抜けていると噂のエレンを心配して、同期のジャンが遊びに来た。
 普段は憎まれ口の売り言葉に買い言葉でケンカばかりしている間柄だが、共通の友人も多く、何だかんだ言って悪友グループの一人である。
 そういえばジャンは件のエロゲー鑑賞会の際、「俺は絶対この妹だ!妹に行け!!」と騒いでいたな。うっ……ダメだ思い出すと心が……。
「おい大丈夫かよ。顔色やべーぞ?何を落ち込んでんのか知らねぇけど、とにかく飲もうぜ!」
「あ、あぁ……悪いな、ジャン。心配かけちまったみたいで」
 気にすんなよきもちわりー、と悪ぶって見せるジャンはいい男だ。ちょっと馬面だけどいいやつだ。ほんとに。

 ジャンの持ち込んだ大量のアルコールとつまみが半分ほど減った頃。
「ん…………お、おい!!これ、お前…………!!!」
 ジャンが手に持っている物を見て、エレンの酔いは一気に吹っ飛んだ。
 ラックの奥底に隠していたはずのそれ。
 黒髪ツインテールの、いちごぱんつ美少女のDVD!ロリコンのレッテルまじ勘弁!!
「ジャン、ちが、違うんだ!お、オレは決して」

「レヴィたんの最新作じゃねーかよ!何だよお前もファンだったのか!?」

「……はぁっ!?」
「っだよ隠さなくてもいいじゃねーか。いや実は俺もさー、レヴィたんにはお世話になってるクチで」
 へへへ、と肩を竦めて笑うこの馬面の言っていることが理解できない。
「お、お前、レヴィちゃ……そ、その人のこと知ってんのか?」
「はぁ〜?何言ってんだよ、レヴィたんだぞ?ここ10年くらいの間にAV観た男の中で、レヴィたんの世話になってないやつの方が少数派だろ」
 俺はお前はその少数派に入ると思ってたんだけど、いやーマジ意外だわ。
 そう言ってしげしげと『レヴィたんのいちごぱんつ』を眺めているジャンに、エレンは泣きそうになった。
「返せよ!つか触んなよ!」
 乱暴に取り返してスウェットの上着の中に『レヴィたん』を隠す。
 これは、エレンのトラウマでもあり、忘れえぬ天使でもある、可愛いレヴィちゃんとの思い出だ。
 他人の手垢なんて付けられたくない。例え「中身」は別のケースで出荷され、しこたま他所様に使用されているのだとしても。

 あの日、意識を取り戻して跳ね起きたら、エレンの体には毛布がかけられていて、テーブルの上にはこのDVDとメモだけが残されていた。
―――びっくりさせてごめんな、エレン。お前が勘違いしてたから、おもしろくってついからかった。デートしてくれてありがとう、楽しかったぞ。これはエレンにあげる。もし本物に興味がでたら、お詫びに何でもしてやるから、連絡してもいいぞ。レヴィ
 名前の横にはちゅ、と小さくて可愛らしいキスマーク。無意識にそこに唇を押し当ててしまって、メモはエレンの唾液でぐちゃぐちゃになった。泣く泣く捨てた。
 今エレンの元に残されたレヴィちゃんの痕跡は、このDVDとスマホに登録されていた電話番号、これだけだ。
 DVDは、実はまだ観ていない。だから連絡もしていない。
 現実を直視する勇気と覚悟が、とても決まらないのだ。

 キョドっているエレンの様子に、ジャンはしたり顔で頷いてみせた。
「はぁ〜ん、お前、レヴィたんファン歴浅いな?気にすんなよ、まぁ最初にガチロリシリーズ行く辺りお前もマニアックだけどよ、レヴィたん有名女優だから」
「ゆ、ゆうめいじょゆう……」
「おう。合法ロリの最高峰だろ。正確な年齢は公表されてねーけど、デビューからもう10年近く経ってるからアラサーだろ?なのに全然劣化しねぇし、かっわいいよなぁ」
「……さいこうほう……」
「135センチ30キロ、自称Aカップ、パイパンのピンク乳首で感度サイコー、あんあん喘ぐ声もまた可愛いし。レヴィたんマジAV界の妖精じゃね?」
「ぱ・………………っ」
「俺はこっちより、最近出してる合法ロリおねーさんシリーズのが好きなんだけどさ。アラサーだってわかっててもガチロリ設定で売れるってすげーよな」
「……ちょ、マジでお前黙ってくんねーかな……」
 ていうか帰って。もうひとりにして!オレのレヴィちゃんが汚される!

 オレはロリコンじゃないから、ガチロリじゃなくてアラサーなのはいいよ。びっくりしたけど。すげーびっくりしたけど。
 けど、けど、あの素直で食いしん坊可愛いレヴィちゃんが……AV女優。
 そんなの、さすがに聞いてねぇよ……。

(ただの合法ロリおねーさんだったなら、どんなにか。)
+++

「リヴァ〜〜〜イ、何なのさこの辞表って〜〜〜」
「見ればわかるだろ。もう引退する」
「ウソウソーそんなはずないじゃん?ねぇ?レヴィたんはうちのトップアイドルちゃんなんだよぉ?リヴァイだって気持ちいいのだいすきじゃないか」
 事務所の社長室で応接ソファに沈む小さなレヴィ、本名リヴァイは、大げさに嘆いて擦り寄るマネージャーからぷんと顔を背けた。
「するったらする。大体、おれの歳じゃもう需要ないだろ。おれに使う分もっと若い子をばんばん宣伝して売り出せよ」
「最新作の売り上げ、知らないとは言わせないよ?ガチロリが嫌ならロリおねーさん主軸でいくからさっ。ね?ね?」
「そういう問題じゃない」
「何が嫌なのー?もしかしてこの間の男優、乱暴だった?ニオイが嫌だったとか?レヴィたんの相手役はかなり厳選管理してるんだけど不備があったのかな」
「そういう問題でもない」
 えぇ〜?と頭を抱えるマネージャーの困り顔に、さすがのリヴァイも不機嫌な態度を持続はできない。
「……わかってる。ハンジがおれのために条件も環境も良くしてくれてること。売り方も尊重されてるし、ピンハネもされないし、下手くそな野郎を回されて怪我したこともない」
 女優の足元を見たお粗末な企画などは全て蹴ってくれたり、体の小ささに比例して膣も小さいリヴァイの体に無茶を強いるような相手を付けないようにしてくれたり。そうしてハンジが立ち回ってくれるので、これまでやってこられたのだ。
「そんなの当たり前じゃないか!私はあなたの一番のファン、一番の味方だもの!」
 そう言って抱きしめてくれるハンジに甘えながらも、リヴァイはふるふると首を振る。
「けど、もう限界だろ。別にAVが嫌だってんじゃねーけど、おれもそろそろ落ち着きたいし」
「え……まさか結婚の予定でもあるの!?」
「いや、そんなんじゃない、けど」
「けど!?けど!!?」
「ハンジ、うるさいっ」
 ぺいっとハンジを突き飛ばして、リヴァイはとことこと社長席に近付いた。
 黙ったまま二人の会話を見守っていた金髪の偉丈夫の膝に乗り、ごろごろと猫のように懐く。
「な、エルヴィン。おれもそろそろ潮時だ。引退していいよな?」
「拘束する権限はないね」
「エルヴィン!」
 ハンジの悲嘆の叫びも気にせず、切れ者と名高い当代の社長は、看板女優の小さな頭を優しく撫でた。
「しかし突然だな。恋人でもできたのか?」
「そんなのない。つーか、AV女優とまともに恋愛しようとするやつなんかいねぇだろ」
「わからないじゃないか、そんなこと。リヴァイは可憐だからね」
「わかる。だってこの前、ちょっとおいしそうだな〜ってやついたけど、おれがAV出てるアラサー女だって知ったら即萎えて気絶しやがったぞ」
「…………それは、お前のやり方が即物過ぎたんじゃないのか」
 なるほど、ご機嫌ななめの理由はソレか。
 やれやれと苦笑いするエルヴィンに、ぷくーっと膨れるリヴァイ。親子そのものの見た目だが、その実二人は兄妹である。
「いいもん。おれ、エルヴィンと結婚するって小さい頃から決めてたもん」
 それは恋がうまくいかなかったときのリヴァイの常套句だ。
 エルヴィンは、別にお前が妹だって俺は全く構わないけど、なんてことは言わない。リヴァイが本気でないことは誰よりもよく知っている。
 代わりにふふっと微笑んで、すべすべの頬に口づけた。
「お前の魅力がわからない男なんて、生物学上もオスとは認められないな」
「そうそう。何なら私がちょん切ってきてあげよっか?」
 エルヴィンからリヴァイを奪って抱き上げるハンジの目は笑っていなかった。

 ハンジの腕にあやされながら、リヴァイは考える。
 二人のように、『レヴィ』のこともリヴァイのことも、全部見て愛してくれる誰かが、本当にいたらいいのに。
 可愛くてお人よしのエレン。お前がそうだったなら、よかったのにな。

(その恋が終わりだなんて、決めつけるのはまだ早い?)