「ずんだだってんだろーが!!」
「だんごでござるぁああ!!」
ピシャーンやらドカーンやら派手な衝突音と共に、何やら甘味の名を連呼して戦う武士が二人。
片やこの奥州伊達軍が筆頭・伊達政宗。受けて立つのは甲斐武田が一番槍・真田幸村。
「Zu-n-da is forever!!!」
「だんごこそ世界一ぃいいい!!!」
……とりあえず此度の争いがどれほどくだらないものかは察してもらえたと思うけれども、しばらくお付き合いいただきたい。礼。
戦国時代も案外平和。
事の発端は、武田・上杉・伊達の三国休戦協定締結を記念し奥州を訪問した真田が、好敵手である政宗との手合わせを望んだことである。
政宗ももちろん喜んでその申し出に乗り、二人は庭に出て試合を始めた。オカン同盟なる陰の通称(本人たちが聞いたらどんな目に遭わされるかわかったものではない)がある保護者二人に口を酸っぱくして言われたため獲物は木刀だが、実力の拮抗する相手との勝負は互いを十分夢中にさせた。
くたくたになって二人同時に地面へ転がると、高かった日は既に黄色みを帯びてきて、従者たちの姿も見えない。できた彼らのことだから、今に茶でも運んでくるだろう。
『はぁー……やはり、思う存分の勝負の後には、腹が空くでござるなぁ』
まだ整いきらない呼吸のもとでカラリと笑う真田に、政宗も不敵な笑みを返す。
『アンタはほんとに燃費が悪ぃな。安心しろよ、すぐに小十郎手製の茶菓子が食える。』
『なんと、片倉殿は野菜だけでなく菓子も作れると!?』
野菜を作るのと菓子を作るのでは工程が全く違うだろうと思ったが、真田の驚きようが存外気持ちよかったので、政宗は起き上がると自慢げにうなずいた。
『俺の右目は何でもできるぜ?小十郎のずんだ餅を食ったら、アンタんとこの忍の飯なんぞ食えなくなっちまうだろうな』
何をまるで自分のことのようにと思うだろうが、政宗にとってまさに右目の手柄は自分の手柄である。得意満面で言ってのけたその言葉に、今度は真田ががばりと起き上がった。
『それは聞き捨てならぬ!いかに片倉殿が秀でた従者であろうとも、佐助の上はおりませぬ!!』
真田にとっても、佐助はただの忍や従者ではない。忍びの技に長けた自慢の懐刀であり、長年寝食を共にする面倒見のいい大事な家族だ。世に名高い「竜の右目」と比してなお、真田は佐助が一番の従者であると確信している。
『佐助は忍隊の統率や諜報活動はおろか、掃除洗濯襖の修理、某の飯や間食用のだんご作りまで、いつも涼しい顔でこなすはいぱぁな忍でござる!』
『Ha-hn!?小十郎は伊達軍の一兵卒まで目ぇ配ってるし、騎馬鉄砲隊の指導もしてるぜ!戦になりゃ策を練って、平和なときは畑で野菜の世話をして、こんなperfectな奴いねぇだろ!』
ぐぬぬ。ものすごい形相で睨み合う二人は、ばっと獲物を手に飛び退り構えた。
『どうやら物の道理ってやつを教えてやんなきゃいけねぇようだなぁ、真田幸村?小十郎とあの軟派な忍を比べるなんざ、贔屓もちぃっと度が過ぎてるぜ。』
『贔屓が過ぎるのは政宗殿でござろう!893より忍!佐助のだんごを食ったことのない政宗殿には、佐助のよさはわからぬでしょうが』
『だんご?Ha!!んな半端なもんがいいようじゃ仕方ねぇか。アンタは小十郎のずんだ餅の美味さを知らねぇからな!』
ぐぬぬぬぬ!
『てめぇええ黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって!!俺の右目を馬鹿にして無事に帰れると思うなよ!!』
『だんごを、馬鹿に、するぬぁああああ!!!』
そんなわけで。
雷や炎を纏って宙を翔る姿は真剣そのものだが、いかんせん「だんごぉおお!!」「ずんだぁああ!!」と気の抜ける叫びを伴うものだから、結局。
件の従者たちは厨でそれぞれ作業をしながら、
「もー旦那ってば、いくらお腹空いたからってよそ様のおうちであんなに叫ぶことないのにさぁ。ごめんねー右目の旦那」
「いや、政宗様も駄々をこねていらっしゃるようだからな……。奥州筆頭たる者が甘味一つであそこまでムキになるとは、俺の教育もまだまだってことだな」
二人揃って重たいため息をついただけ。
部下自慢から派生した甘味戦争は、この後保護者の鳴神と闇属性オーラで強制停止させられるまで、まさしく全身全霊をかけて行われたのだった。
「旦那、いい加減にしてよ!これ以上騒ぐなら一ヶ月だんご抜きだよ!!」
「政宗様……日が傾く頃には政務に戻ると、お約束いただいたはずですが?」
「さ、佐助ぇ!某はただ……!」
「No、違うんだ小十郎!聞いてくれよ、つまりだな……」
「「 問・答・無・用 !!!」」
さぼてん様へ捧げる相互お礼品第一弾・「蒼紅deギャグ」でした。
リクいただいて真っ先に思い浮かんだのが「だんご対ずんだ」
…戦国武将を何だと思ってるんだという(笑)
つい勝手に従者ズも出しちゃいました…!もうこの四人セットでいいと思う!
こんなかんじでくだらない張り合いを続ける我が家の蒼紅コンビですが、
どうか生温い目で受け取ってあげてください!(笑)