公式学パロ設定でどうぞ。


ぴんく日和。


 桜並木が有名な川沿いの遊歩道。あたたかな日差しと少し冷たい風の春の日、待ち合わせ場所に現れた政宗はむっと眉根を寄せていた。
「おっはよー竜の旦那!花見日和でよかったね〜」
「何だい何だい、浮かない顔だねぇ!こんないい日にシケた面、せっかくの男前が勿体ないよ!」
 らりほ〜と手を振る陽気な二人組に、小さく舌打ち。
「誰のせいで機嫌が悪いと思ってやがる。何でアンタらまで一緒に花見についてくんだよ?」
 今度の休みに花見に行こう。ちょうど桜が満開だ。
 確かに政宗はそう言ったけど、誘ったのは自分の右目、片倉小十郎だけだったのに。
「しょうがないでしょー?竜の旦那が皆の前でそんなこと言うから、うちの旦那が行く行くって聞かないんだもん」
 件の真田は花より団子で、酒の買出しに出ると言う元親と共に(というか、襟首を掴んで)つまみを調達しに猛然と駆け出して行った。
「桜の花に恋の花、まとめて肴に呑めるならってね」
「……悪趣味なヤローだぜ」

 ため息をつく政宗は知らないが、佐助や慶次には花見とは別に、ある企みもあった。
 独眼竜とその右目、日頃仲睦まじく揺ぎ無い信頼で結ばれている二人を、春に相応しき桃色の糸で繋いでやろうというもので。
 どこからどう見ても惹かれあっているはずで、しかしなぜか互いに遠慮しあって進めずにいるじれったい関係を押し進めるべく、友人代表として一肌脱ごうというわけだ。
「そういやぁ、独眼竜、珍しい格好してるじゃないか」
 とりあえず斜めのご機嫌を少しでも取り持とうと話題を変える慶次に、佐助もうんうんとうなずいた。
 濃紺の細身のジーンズにショートブーツ、シルバーのごついウォレットチェーンとジャケットで、眼帯も相まったヴィジュアルロックテイストの服装はいつも通り。
 しかし、その首元に巻かれたストールの淡いピンクのチェックが、いつもよりやわらかな印象を与えていた。
「竜の旦那がピンクなんて、初めて見たかも」
 しげしげと眺めつつ、案外似合うね、さすが色男!と感心する二人にも、政宗はつまらなそうにそっぽを向いたまま。
「春だからな。こんな色もたまにゃいいだろ」
 いつも通りとにかくド派手な原色使いの慶次と、いつも通りグレーのパーカーに迷彩パンツとカジュアルな佐助は、互いを見遣ってうーんと唸る。
 さりげなく景色に調和し、そのくせ目を惹く輝きは失わない。さすがの伊達男、目つきは悪いがこだわりが違う。
 そう、思ったのも束の間で。
「政宗様!」
 素晴らしく耳通りのいい低音が聞こえて、政宗がはっと顔を向ける。
「申し訳ありません、お待たせしてしまいましたね」
「No problem、気にすんな。小十郎を待つってのも、新鮮でいいもんだな。」
 ニカ、と笑って見上げる政宗に、意地悪を仰るなと苦笑する小十郎。途端流れ出すふわふわとした幸せオーラに、佐助と慶次はぱかりと口を開けたまま。
 先程までの不機嫌などきれいさっぱりと忘れてしまっている、政宗のわかりやすさにも唖然だが。
 二人の視線を釘付けにしているのは、小十郎が、長身強面頬傷のあの小十郎が、ピンクのチェックシャツを着ていることであり。
 黒いベストとタイ、ハイカットのミリタリーブーツで引き締めつつも、その淡いピンクが全体をいかつすぎないやわらかさに……って、さっきも同じようなことを言った気が。
 同じようなというか、同じだ。淡いピンクの色合いも、チェックの入った間隔も。違うのはそれがシャツかストールかというだけ。
「……なんだ、お前ら本当に来たのか?」
 ようやく存在に気付いてもらって、半笑いで手を振る二人に、小十郎は呆れた一瞥をくれただけ。
「政宗様、襟元が」
「ん、thanks」
 そっと大切そうに伸ばされた手に安らいで首元を預ける政宗は、いつもよりルーズにまとめられた右目の髪をうっとりと眺めている。小十郎は小十郎で、傍目からすれば一体どこがどう変わったのかよくわからない程度に、政宗の襟元を直していて。
 政宗と小十郎は、完全に周囲のことなど忘れきって、二人の世界を作り上げていた。

 あぁ、春だからとか伊達男とか、関係なかったんだ。揃いの服まで用意して気合い十分なのは、二人がこれをデートだと認識しているからに相違ない。
「……行こっか。」
「賛成!」
 後押しなんて必要ないとわかれば、もとより邪魔をする気でここにいるわけでもないのだから、退散するのがマナーだろう。
 佐助は苦笑を、慶次は喜びの笑みを。
 らしい表情を浮かべた二人は、舞う桜より鮮やかな桃色のオーラを尻目に、遠くに見える砂塵と微かに伝わる野太い悲鳴を止めるべく歩き出した。



おぴんく祭り様へ捧げました、ぴんくな双竜話。
桜・ピンクでペアルック・桃色オーラとぴんく色を詰め込んでみました。
素敵な企画に参加させていただけて、とっても楽しかったです!ありがとうございました!!

ちなみに、我が家で初の慶次出演だったりするかもしれません(曖昧か!)