5万打感謝企画9「猫宗様と犬十郎でいちゃいちゃ」

俺の名前は伊達成実。
大学進学に伴って、輝宗おじさんの家に居候している。


うちのこ語り。


「ただいまぁ〜」
 バイト明けに帰宅をすると、玄関に茶色い犬の小十郎が座っている。
「わふ!」
「小十郎!今日もお迎えありがとね!すきだぁ〜」
 もちゃもちゃと撫で回そうとしたら、ついっと背中を向けられた。顔には尻尾アタックが直撃。気安く触るなってことですか、そうですか。
 犬っていうのは、べろんべろん顔をなめて、てっしてっし飛び掛ってきて、もちゃもちゃに撫でてやるのが好き。そういうイメージだったけど、小十郎は違う。
 まず、舐めない。吠えない。甘えない。壮絶にクールな男だ(犬だけど)。
 輝宗おじさん曰く、
『小十郎は、賢いんだよねぇ。拾ってきたときから貫禄があったし、人間の言葉がわかってるんだよ。』
 らしい。犬だと侮ることなかれ。これ、親ばかに聞こえるかもしれないけど、小十郎に関しては本当にそんなかんじなのだ。
「小十郎、今日はおじさん遅いみたいだから、そろそろごはんの用意するね」
「わふ」
 軽くうなずくように鼻先を振って、小十郎が歩く先に付いていくと、リビングから小さな猫が飛び出してきた。
「みぎゃあ〜〜〜!!」
 猫はそのまま小十郎の腹毛にぼすんと埋まってしまう。小十郎は立ち上がれば成実の胸元まである大きな犬だから、そうするとすっかり姿が見えなくなる。
「政宗?どしたのさー」
 ひょいと覗き込んで、蒼灰色でつやつやの毛玉状態な政宗を抱き上げようとしたら、
「ふぎゃぎゃ!みぎゃーー!!」
「ぎゃあっ痛てぇ!!」
 ものすごい凶悪な目つきで両腕をバリバリやられた。だけでは飽き足らず、全身の毛を逆立てて威嚇までしてくれている。怖い。
 あわや第二陣の攻撃かと思った瞬間、小十郎が政宗の首ねっこをくわえた。途端にふしゅんと大人しくなった政宗を、そのままリビングへ連れて行く。通り過ぎ様、ちらりと向けられた小十郎の瞳は、「ここはいいから、飯の準備を任せたぜ」と言わんばかりに男前だった。かっこいい。
 一体どっちが飼い主なんだか。
「政宗を拾ってきたの、確か俺だったはずなんだけどなぁ」
 小十郎はもともと、輝宗おじさんが拾ってずっと飼っている犬だ。政宗は、成実が居候を始めた当初に、ひどい怪我をして倒れているのを拾ってきた。随分いい血統の猫だと言われたけど、結局飼い主は見つからなくて、おじさんに頼んで飼うことにしたのだ。
 ごはんを出しているのも、散歩に連れて行くのも、基本的には成実が担当している。だというのに、政宗はちっとも懐かない。それどころか、
「ふにゃぁ〜、なぅー、うにゃ〜あv」
 リビングへごはんを持って行くと、政宗はすっかりご機嫌で、小十郎の頬をザリザリ舐めてはうにゃうにゃと甘えて鳴いている。小十郎も鼻先で政宗の背中を撫でたり、喉元をくすぐったり、すっかり甘やかしモードだ。
「小十郎、お父さんってかんじだね」
 声をかければ、一転据わった目で政宗に睨まれた。手元のごはんをアピールすると、まるで「飯か、それなら仕方ねーな、大目に見てやる」と言うようにふん!と鼻息を返される。さっきの甘えん坊と同じ猫とは思えない尊大さだ。怖い。
 そう、懐くどころか、政宗にはすっかり「小十郎を奪うお邪魔虫」認定されている。
 退院してしばらく、まだ怪我も癒えきらず警戒心の強かった政宗を、根気強く世話したのが小十郎だった。カラーで舌が届かない部分を毛づくろいしてやり、眠るときはお腹と尻尾で包み込んで守ってやり、ごはんを目の前で食べてみせてやり。
 どんなに引っかかれても、噛み付かれても、決して怒らず、吠え立てず、牙を剥かず。普段クールで一匹狼的な雰囲気のある小十郎が、まるで実の親かと思うくらい、献身的に愛情深く小さな政宗を守っている姿は、思わず涙が込み上げるくらい優しかった。
 そんな誠意と愛情で、政宗もすっかり小十郎だいすき猫になった。それと同時に、毎朝毎晩、必ず見送りとお迎えで自分から小十郎を引き離す(躾けたのはおじさんなのに!)成実を、お邪魔虫として威嚇するようになったのだ。
「おじさんには膝に乗ってかわゆくしてるくせに、ずるいよな〜」
 かふかふとごはんを食べながらも、尻尾は小十郎の尻尾に巻きつけて甘えている政宗に、ぶつぶつぼやきながらも。
「まぁ、可愛いからいいけどv」
 後姿をデジカメに収めて、にんまり。本日もらぶらぶショット、無事にゲットいたしました。


 お月様もすっかり高くなった頃、人間二人は眠る。
 ご主人の輝宗の膝の上でまんまるくなって撫でてもらっていた政宗は、「そろそろおやすみ」と優しく喉をくすぐられて、輝宗の部屋を出た。
「ふにゃーあ」
 専用の毛布の上で丸くなっている小十郎のところへ行くと、小十郎の耳がぴるっと震えて、片目だけ開いた。ちらっと政宗を見ると、もそもそとお腹のあたりを空けてくれる。
「なーぅ、うにゃ」
 小十郎のふかふかの腹毛が、政宗は大好きだ。パタパタ動く尻尾も好きだが、やはり温かくて気持ちのいいここが最高だ。
 居心地のいい場所に納まると、尻尾で背中も包まれて、安心する。
「にゃーぁ」
 ぴょこっと顔を出せば、頬を舐められた。お腹でもぞもぞしていた分、逆立っていた毛を整えてくれる。すごく気持ちいい。ころんと寝転がって、お腹も舐めて撫でてほしい気持ちになる。でも、ここから出るのは勿体ない気もして、悩む。
「くぅん」
 もう寝なさい、いい子だから。小十郎の優しい声がして、ぽふぽふと尻尾が背中を撫でた。
 政宗は、もっと小十郎に甘えたくて、もっと小十郎に遊んでほしくて、少し不満だ。小十郎はそれがわかっているから、くるんと丸まって政宗をお腹に閉じ込めてしまう。
「にー……」
 ずるいぞ、と言ったら、小十郎が頬ずりをして宥めてくるから、逆らえなくなってしまった。目を閉じた小十郎と一緒の早さで呼吸をしたら、ポカポカで気持ちよくなる。
 起きたら、小十郎の耳をがじがじして、尻尾で遊んで、あとお腹を撫でてもらおう。散歩のとき成実に意地悪しても怒らないでっておねだりしてみよう。新聞を運ぶのをお手伝いするから、お見送りのお仕事はお休みしてくれないかな。
 小十郎、だいすきだ。ふにゃあと鳴いて伝えたら、小十郎が優しく舐めてくれたような気がした。



憧れのわんわんにゃんにゃん!!挑戦できてすごく…楽しかった…!
いろいろ、種類に悩んだり(特に猫宗様。黒猫か蒼っぽい猫か…結局セレブっぽいという理由で蒼猫になりました←) おしゃべりをするかしないかで悩んだりしたのですが、いやはや獣化、奥が深いです。
また、飼い主がパパと成実という設定がとても素敵!パパをあまり出せなかったのですが…ナイスミドル紳士なご主人様イメージ。くふ!(怖いから笑)
える様、きゅんな設定とリクエストをありがとうございました!!