5万打感謝企画1「現代小政(敬語なし小十郎)」
同い年バッテリーでゆるゆる。
結局甘いんです。
残暑というにはまだまだ暑い、ある日の夕刻。
日の長さにかこつけて、ダラダラと居座っていた部室からようやく出てきた。落ちかけた陽のオレンジ色が、土に汚れきったユニフォームを労わるように染めている。
「あーあ、甲子園も終わっちまったなー」
「だな」
「ったく、あの傍迷惑な応援団共がいなきゃ、今年こそ俺らが優勝してるはずだったのに」
ぶぅぶぅと唇を尖らせて拗ねている政宗に、傍らの小十郎が苦笑した。それが気に入らなかったのか、政宗がドンと肩をぶつけてくる。
「んだよ、お前まさか俺よりあの瀬戸内コンビやら爆弾オヤジやらの味方すんのか?」
「まさかだろ」
今年三年の双竜バッテリーを応援しようと、校内の有志が先を争って応援席を埋めてくれたまではいいが、吹奏楽部と応援団の不協和音に加えて、二人が天敵として避けて通っている科学教師が火薬を持ち出すという騒動(幸い上杉教諭のブリザードで発火は免れた)があり、結局二人の夢、甲子園優勝は果たされないままに終わってしまった。
「政宗が優勝旗持って壇上に立ってんの、俺が一番見たかったんだぞ」
ぐしぐしとクセの強い髪を撫でながら小十郎が言えば、政宗もようやく表情を緩める。
「とりあえず、松永のヤローにはお礼参り決定だな。」
「Oh、穏やかじゃねぇな」
でも賛成!にぱっと笑った政宗を片腕にぶら下げながら、小十郎も笑う。
「あ、じゃあ鬼島津にもお礼参りする。よかよかーとか言って松永を応援席に入れたのあのおっさんらしいぜ」
「いや、島津先生は……あの人に悪気はないんだ……」
「何だよ!何でお前はそんなに鬼島津ばっかり贔屓すんだよ!」
「ばっかりじゃない、上杉先生も贔屓してる」
「尚悪いわ!!」
半ば以上負ぶさりながらガルガル噛みつく政宗と、しれっとしながらも楽しげな小十郎の姿に、道行く老夫婦がくすりと楽しげに笑って通り過ぎて行った。
「……笑われてるぞ、政宗」
「俺じゃねーもん、小十郎がおかしな顔してるから悪ぃんだ」
何だそりゃ?と呆れた反応の小十郎の頬をむにっと伸ばす。思ったより伸びなかったが、何だかちょっと可愛かったので許すことにする。
「はー、あっついよなー。夕方だぞ?真田のせいで地球温暖化が進んでんじゃねーの」
「真田を疑う前に、自分で歩けばちっとは涼しくなるだろうけどな」
「あっそうだ!なぁなぁ小十郎!」
ぺいっと放り落とされそうな予感に慌てて、両手両足でがっしりと小十郎にしがみつきながら、政宗がにぃっと笑って小十郎の顔を覗き込む。
気を許しきったときの常で、少年のような甘えの混じる声音と表情に、小十郎は不審極まりないといった視線を送った。長年幼馴染をやっていれば、もう大概の政宗の行動や思考は読めているのだ。
それでも、うずうずと期待しきった政宗の目には、どうしたって負けてやるしかない。
「何だ、課題なら手伝わないぞ。自分でやれ」
「ちげーよ!そんなんじゃない、小十郎忘れてんのかよ?もうすぐ俺誕生日だろ!」
「うん……?」
ぷくっと膨れた頬をむいむいと密着させてくる政宗に、小十郎は胡乱気に目を据わらせた。
「政宗……お前、今月の頭にも俺にプレゼントねだったの覚えてるか?」
「それは旧暦だ。今度が本番だ」
「転生ネタじゃないので適用されません。」
「Booooooo!!!」
うだうだと我侭を言う政宗を背負ったまま、小十郎は家路を進む。
どうせ明日には政宗のお目当ての店に向かってしまっているであろう自分を思い浮かべながら。
…あれ、これ小政?(どどーん)
「敬語なし小十郎」ということで、保護者しつつもちょっとやんちゃ味もある小十郎を目指してみました!楽しかった!!
ぺったりしてる割に甘味が薄いのはそのせいかしら(笑)
少しでも楽しんでいただけるといいのですが…どきどき。リクエストありがとうございました!!