5万打感謝企画2「CAこじゅこの続き」


「もう耐えられねぇ、頼む、俺と結婚してくれ!小十郎を他の男に盗られるなんざ、考えたくもない」
 ぎゅっときつく抱き寄せられて、その肩が震えているのに気がついた。
「俺が10も年下だから、頼りねぇと思う気持ちはわかる。今すぐ結婚に踏み切れないなら、婚約でもいいから」
 頼むから俺にお前を独占させてくれ。このままじゃ嫉妬でおかしくなりそうだ。
 いつも気障ですかした態度の政宗が、半ば涙目になって言ったその必死の言葉に、小十郎の堅牢な牙城もとうとう溶け崩れてしまった。
 もしかしたら今までずっと、本当にこうして必死になってくれるのを、心のどこかで待ち望んでいたのかもしれない。


CAさんとおぼっちゃまくん。2


 そうして現在、結納も控えた立派な婚約者と相成った二人は、上空にいた。
 伊達家のプライベートジェットで、向かうは南のリゾート、バリ島。
 婚前旅行である。
「……何ですかこれ」
「Honey、わかってるだろ?CAの制服だ!」
 政宗たっての希望で決まったこの旅行であったが、小十郎とて久々のまとまった休みであり、婚約者とのリゾートが嬉しくないはずもない。
 実はこっそり、かすがと一緒に買い物に行き、下着を新調したりしてしまった。今まで小十郎が激しくどきっぱりと拒んだり、婚約後はお互い忙しくてそんな暇もなかったりで、むにゃむにゃな関係には至らずに来たものの、今度はそういうわけにもいくまい。
 小十郎だっていい歳だし、政宗も成人して学生の傍ら会社のポストも任されている身なのだから、早いということもないだろう。
 とか何とか、色々と思い悩み恥じらいつつも、十分に楽しみにしていたのだ。
 だから、二人でウキウキできるこの空気を、できれば壊したくない。

 それが例え、機内ではCAの制服を着てほしいなどと、用意周到に準備された衣装(実際の小十郎の制服に似ているが、アレンジされている辺りコスプレ衣装だろう)(そこは勿論、生地も仕立ても一流品の仕上がりだが)を差し出されたとしても。

 ものすごく渋い顔で衣装をガン見している小十郎の手をとって、政宗は照れくさそうに声を落とした。
「小十郎。俺はあの日、初めて小十郎の働く姿を見て、なんて格好いい女なんだって感動したんだ。ぴっと伸びた背筋でさ、かっちりした制服と動作の綺麗さがよく似合ってるって。あれ以来、お前の制服姿が気に入っちまってんだ」
「ま、政宗様……」
「せっかくのprivateなのにって思うかもしれねぇけどさ。今は俺だけのattendantに、なってくれねぇか?」


「Wooooow!!!小十郎!!How beautiful!!!」
「…政宗様がどうしてもって言うから仕方なく着てるんですからね。調子に乗らないでくださいね!」
「I see,I see!わかってるぜ小十郎!」
「…………何ですか、腕広げて」
「遠慮するなよ、ヘイカモン!俺のお膝に!」
「セクハラしたら破談にしますよ」
 伸ばした手をぴしりと叩かれても、政宗はでれりと笑っている。隣に座った小十郎の肩を抱いて、もう片方の手をぎゅっと繋いだ。
 何が楽しいのか小十郎にはさっぱり理解できないが、こんなことでこれほど楽しそうにしてくれるのなら、無下に断らなくてよかったのかもしれない。多分、おそらく。
 そう、これは婚前旅行。これから二人で幸せになるための決意の一歩だ。ギスギスした空気で始まるよりも、和やかに楽しく過ごせる方がずっといい。
 ふぅと軽く息をついて、小十郎もくすりと笑った。
「まったく、しょうのない方ですね」
 広い心を持とう。ちょっと困ったおぼっちゃまくんなところも含めて、政宗を好きになったのだから。


 コテージに着いて、ディナー用と称して谷間やら背中やら太ももやらがばっくり露出する、叶姉妹か!とぶん殴りたくなるようなドレス(網タイツ付)を贈られて、平手一発と共に破談を申し渡し、操縦士を視線で脅して政宗を置き去りに再び離陸することになるとは、夢にも思わなかったこのときの小十郎だった。



K様の「マニアック上等★」という素敵なお言葉に甘えて書いてみました。
…ら、マニアック通り越して変態なおぼっちゃまくんが出来上がってしまったのですがどうしましょう(あばばば!)
書いてる私は楽しかったんですが、大丈夫かなこれ(笑)プススっと笑っていただければ幸いです(ほんとにね…笑)

K様、リクエストありがとうございました!!